レアアース磁石を用いることなく、ステータとアーマチャに多数の対向する突歯(磁極)を持ち、磁束が三次元的に流れて高推力が得られる従来には無い構造のリニアバルブアクチュエータの研究を行った。平成25年度までに、本研究のアクチュエータの磁場解析を有限要素法を用いて行い、アクチュエータ内の三次元的な磁束流れを明らかにしている。そして、突歯形状の検討を行い、隣接歯間の磁気干渉が少ない三角溝や丸溝形状が良いことがわかった。さらに、角形ステータの両側面に丸溝を付けてフィンを形成し、本アクチュエータの伝熱を促進してコイル温度上昇を抑制し、コイルの許容耐熱温度を考慮しながら、コイル電流を大きくしてアクチュエータの推力をさらに高める検討を行った。そして、ステータにフィンを形成するために設けた丸溝がアクチュエータ内の磁束流れに影響しないよう、磁場解析により丸溝寸法を求めた。これらの結果に基づき、フィン付ステータを組み込んだアクチュエータを設計でき、アクチュエータ部品の製作ができた。 平成26年度(最終年度)は、設計製作したアクチュエータ部品の組立を行い、電磁特性および伝熱特性の実験を行い、性能を確認した。外形寸法は従来のアクチュエータとほぼ同じにした本研究のアクチュエータの性能について、磁場解析値と実験結果を比較したところ、消費電力15W~60Wで、アーマチャ位置に対する推力の関係は両者で良く一致した。そして、従来のアクチュエータと同じ消費電力15Wで本研究のアクチュエータの推力を比較すると、2.5倍の推力が得られることが確認できた。さらに、本研究のフィン付きアクチュエータは、伝熱促進効果によりコイル電流を従来のアクチュエータに比べ1.5倍程度大きくしても発熱によるコイル温度上昇は許容値以内に収まり、さらに1.5倍程度大きな高推力を得られる見通しが得られた。
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