研究課題/領域番号 |
23560280
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山本 雅人 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (40292057)
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研究分担者 |
古川 正志 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (70042091)
鈴木 育男 北海道大学, 情報科学研究科, 助教 (40422026)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 人工生命 / 進化型計算 / ニューラルネットワーク / 中枢パターン生成器 |
研究概要 |
本申請課題は,実際の物理環境を再現した高速なシミュレーション環境において,仮想生物の自律的制御機構の最適化にもとづき,実際の生物に近い行動を創発させることで生物行動創発の理解を目的とするものである.平成23年度では,主に,(1)仮想生物のモデリングと高速な近似流体環境計算を内蔵したシミュレーションを行う統合ソフトウエアの開発と,(2)生物の周期的行動の基礎となる中枢パターン生成器(CPG)の振る舞いの分析,を行った.(1)については,ほぼ統合ソフトウエアの開発を完了し,仮想生物のモデリングとシミュレーションがシームレスに実行でき,かつ,仮想生物への自律的制御機構の付与や進化計算手法の適用が可能となる機能を開発した,仮想生物の行動シミュレーションを高速に行える環境を整えた.特に,水中や空中などの流体環境においては,移動する物体にかかる抗力計算を高速に行う手法を確立し,高速なシミュレーションを可能とした.(2)については,CPGのパラメータを最適化することにより仮想生物の行動生成を行い,パラメータが行動に与える影響についても検証した.また,CPGを用いなくとも人工ニューラルネットワーク(ANN)の結合重みの最適化のみで周期的行動を生成できることも確認した.これらの成果を踏まえて,仮想筋肉を用いた魚モデルの遊泳行動生成やサラマンダーモデルの歩行・遊泳行動生成を行った.さらに,複合的で複雑な行動生成を行うための基礎として,複数の単純な行動を同一の自律的制御機構によって獲得可能であることを実験によって示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定であった水中や空中の流体環境での影響を高速に計算する機能を加えたモデリングとシミュレーションの統合ソフトウエアをほぼ完成したこと,および,生物の周期的行動の基礎となる中枢パターン生成器のパラメータ特性について検証できたこと,の理由による.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,今年度に得られた研究成果から,より複合的で複雑な行動生成のための方法論を確立するために,複数の自律的制御機構である人工ニューラルネットワーク(ANN)を組み合わせる方法について検討する.特に,仮想生物の状況や知覚入力に応じて複数のANNを切り替えるタイミングや,複数のANNの出力を混合する方法について具体的な生物の行動生成問題を扱い検証を行う予定である.その際,今年度得られたCPGとANNのみによる周期運動生成の効率を比較しながら研究を進めていく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は,平成23年度経費を効率的に使用した結果生じた残額で研究成果発表や資料収集のための旅費として使用させていただくとともに,研究成果公表のための論文別刷代や英文校閲料などにも使用させていただく予定である.
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