研究課題/領域番号 |
23560280
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山本 雅人 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (40292057)
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研究分担者 |
古川 正志 北海道大学, 情報科学研究科, 特任教授 (70042091)
鈴木 育男 北見工業大学, 工学部, 准教授 (40422026)
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キーワード | 人工生命 / 進化型計算 / ニューラルネットワーク / 中枢パターン生成器 |
研究概要 |
本申請課題は,実際の物理環境を再現した高速なシミュレーション環境において,仮想生物の自律的制御機構の最適化にもとづき,実際の生物に近い行動を創発させることで生物行動創発の理解を目的とするものである.平成24年度では,主に,複雑な行動生成を行うための行動制御コントローラの構造として,複合ニューラルネットワークを提案し,その特性などについて調査した. 前年度までに,単純な行動生成については,ニューラルネットワークと進化型計算を使用したニューロエボリューションや中枢パターン生成器の使用等によって可能であること明らかになっていた.本年度は,さらに複雑な行動生成を行うために,移動や遊泳といった比較的単純な行動を生成可能なニューラルネットワークを複数用意し,それらの上位階層に新たなニューラルネットワークを組み込んだ複合ニューラルネットワークを提案した.例えば,バッタをモデルとした仮想生物について,歩行やジャンプ,起き上がり,といった行動を生成する下位のニューラルネットワークについて進化を事前に行ったのち,その結合重みを固定して,上位階層のニューラルネットワークの結合重みを進化させることで,適切な状況で歩行や起き上がり,ジャンプといった複雑な行動を生成可能であることを実験によって示した. また,複合ニューラルネットワークの特性を調査するため,トンボをモデルとして飛翔体の仮想生物による飛行行動の進化を通して,進化の速度を早めたり,より環境の変化に対応できる汎化能力に優れた行動を生成することが可能であることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成23年度のモデリングとシミュレーションソフトウエアの開発,および,中枢パターン生成器の使用による周期行動の獲得について実現し,その特性について明らかにしたことに加え,本年度は,新たに複雑な行動生成のために24年度以降25年度までかけて行う予定だった複合ニューラルネットワークの使用とその特性調査を平成24年度中にほぼ終えることができたため.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度で調査した複合ニューラルネットワークについて,仮想生物のより複雑な行動生成について課題を設け,その実現に向けて複合ニューラルネットワークの応用可能性について議論するとともに,仮想生物を複数用意した環境において適切に行動する行動制御コントローラの開発を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は主に,研究遂行に必要な物品等についておおむね揃っているため,主に研究成果発表のための旅費として使用させていただく予定である.
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