研究課題/領域番号 |
23560282
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
中沢 信明 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80312908)
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キーワード | 顔面体操 / 嚥下 / 計測 / 人間工学 / マニピュレータ |
研究概要 |
本年度は,円滑な嚥下に必要な唾液の分泌促進を目的とした顔面マッサージシステムの構築を行った.まず介護士の動作について調べた.介護士がマッサージを行う場合には,椅子に座った被介護者の後ろに立ち,被介護者の頭部後方から両手を添えた状態で行っている.唾液腺を刺激するためのマッサージは主に三つに分けることができ,頬に両掌を添えて円を描くようにゆっくりと動かす“円形擦り運動”,顎関節から耳の下側にかけて両掌を添えて往復して動かす“直線擦り運動”,そして下顎から耳の下側にかけて両手の指先を触れてリズミカルに押す“指圧運動”をそれぞれ行っている.これらのうち,大唾液腺の1つである耳下腺の刺激に有効とされる顎関節から耳の下側にかけての“直線擦り運動”に着目し,介護者の動作を模倣したマニピュレータの構築を行った.マニピュレータの先端部分を顎ラインに沿わせるため,3次元空間の動きが可能な3リンク機構とした.なお,各関節には小型サーボモータを利用し,制御用パソコンからシリアル通信で各関節角度の位置決めを行うことが可能である.また,マニピュレータと使用者の顔の相対位置を3次元で捉えるめ,USBカメラ2台を利用した画像処理システムの構築を行った.本システムでは,耳下側が鼻孔の延長線上にあることから,画像処理で鼻孔位置の検出する.まず使用者の大まかな顔位置は肌の色を利用し,二値化した画像にラベリング処理を施した.次に面積,アスペクト比から鼻孔位置の候補以外の部分を消去した後,絞り込まれた候補部分の相対距離から鼻孔を検出し,さらに2台のUSBカメラで捉えられる鼻孔画像の視差から3次元位置の算出を行った.使用者の鼻孔位置については,ほぼ100%の割合で検出することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,顔面マッサージシステム構築のための介護士の動作解析,マニピュレータの製作と制御システムの構築,画像処理による顔面位置検出システムの構築を行い,おおむね研究計画書の項目を実施している.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に構築したマニピュレータの制御システムと画像処理システムを融合させ,マニピュレータによる耳下腺のマッサージの実験を行う予定である.その際,被験者に聞き取り調査を行い,圧力,擦り動作の速さの適切な条件を見出すとともにシステムの評価を行い,最終年度のまとめを行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の差額(B-A)は,3,866円であり,平成25年度では,検証実験に必要な消耗品に使用する予定である.その他の平成25年度予算は,当初の計画通りに使用する予定である.
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