研究課題
本研究は、物理的非ウイルスベクターによる遺伝子治療の臨床応用を目指し、犬やブタ等の大型動物における効率的かつ再現性の高い、局所的ハイドロダイナミック遺伝子導入のための新規導入システムの安全性確立を目的とした。すなわち、Good Clinical Practice(GCP)に準拠した遺伝子導入機を開発するための、安全にシステム制御可能なアルゴリズムの確立、特に大型動物における適用に際し安全性を確保するための事前検討の環境として、その有用性の確認を行った。すなわち、ハイドロダイナミック遺伝子導入法の遺伝子導入機の試作機を用い、ラットにおける肝臓へのハイドロダイナミック遺伝子導入時の薬液浸透効果と安全性を検証した。すなわち、研究の推進に当たり、導入実験を行ったラット肝臓の形状を3D スキャナー(VIVID910)で計測し、3D CADによるモデリング作業を経て、内部の血管も含むラット肝臓CADモデルを作成した。さらに、遺伝子導入時の肝臓変形を再現するFEモデルを作成し、有限要素応力解析システム(ABAQUS)を用いて、解析を行った。その結果、有限要素(FE)モデルの形状変化が、実験時の実際のラット肝臓の変形と、定性的かつ定量的に一致したことから、本モデルを用いて、肝臓内の血管等各組織に作用する応力を推定可能であることを示した。また、本手法を応用することで軟部組織のフィッティング作業を容易とすることについても示した。この結果、本シミュレーション環境を駆使することで、肝臓内の応力状態を推定することが可能となり、したがって、適切な薬液導入圧力を推定し、制御パラメーターを設定することが可能となる。すなわち、疾患モデル大動物と非ヒト霊長類を用いた臨床試験前段階への移行が可能になると共に、薬物の細胞内直接送達という新規分野開拓に寄与することが示唆された。
すべて 2013
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Gene Therapy
巻: Vol.2013 ページ: pp.1-8
ライフサポート
巻: Vol.25, No.4 ページ: pp.124-129