研究課題
大規模ケーブルロボットは,大空間での重量物の搬送や懸垂物の位置決めが,比較的簡単な機構で実現できることから,近年,競技場でのアクティブカメラや大型天文台の懸垂機構として利用されている.しかし大規模ケーブルロボットでは,各ケーブルはワイヤ自重により撓(たわ)み,これにより懸垂物の正確な位置姿勢制御が困難となる.また,撓んだケーブルの運動は振動を生じることになり,制御はさらに難しい問題となる.そこで本研究ではこれまでのケーブルロボットでは検討されていなかった,ケーブルの撓みや振動を表現できる懸垂系の動力学計算手法を検討し,これを制御装置に組み込むことで大規模ケーブルロボットにおける高い精度の位置姿勢制御を実現することを目的とした.ケーブルロボットの高精度制御のためには,ケーブルを含む懸垂系の動力学モデルを確立したうえで,これを制御に利用することが重要である.しかし,有限要素モデルなど従来の柔軟ケーブルのモデル化手法は,制御で用いることを考えると計算コストが非常に大きい.そこで,複数ケーブルと懸垂物の動力学計算を高速におこなう新たな手法を開発した.また,懸垂物の位置と姿勢を推定する手法を確立した.具体的には,計算の容易な静力学モデルと懸垂物の剛体力学モデルを組み合わせることで,質量と弾性を考慮しケーブルの揺れや撓みを含むケーブル運動を表現できるモデル化に成功した.これはケーブル形状をカテナリー曲線で表し,懸垂物との接続点で力学拘束条件を満足するように運動方程式を解く手法となっている.これにより極めて低い計算コストでワイヤの弛みと1次モード振動を正確に表現できることがわかった.また,ケーブルの傾き角とケーブル張力により,懸垂物の位置と姿勢を推定し,これを制御に用いることで,精度の良い懸垂物制御が実現できるようになった.
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