研究課題/領域番号 |
23560295
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
武居 直行 首都大学東京, システムデザイン研究科, 准教授 (70324803)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 機構 / 省エネルギー / 制御 |
研究概要 |
本研究の目的は,実環境で頑健に動作し,可搬性と省エネルギー性を有する人共存ロボットシステムの実現である.高い可搬性と省エネ性を付与するために,研究代表者が発明した弾性体へのポテンシャルエネルギーの蓄積・解放に基づく対応荷重可変な重力補償機構を活用し,本年度は最大10kgの荷重を想定した福祉支援ロボット用昇降機の試作機での特性検証および最大3kgの荷重を想定した3自由度のサービスロボット用アームの開発を行った.昇降機の試作機では,おおむね設計した補償力が得られていることが確認できたが,姿勢によりわずかに誤差が生じる場合があったため,装置内のばねによる補償力を詳細に調べ,理論値との比較を行い,その原因を明らかにした.さらに,補助力制御の基礎的実験を行った.ロボットアームの試作機では,カムによる重力補償機構の対応荷重可変機構を新たに導入した.これにより,比較的小型のアクチュエータにより1kgから3kgの範囲で荷重を変えることが可能となった.詳細な特性調査実験を行った.これらの成果はすでに一部を学会で発表している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
可変重力補償機構の原理モデルをベースとして,パンタグラフ型昇降機および3自由度ロボットアームの試作機を構築することができた.これに関しては当初の予定より進んでいる.設計理論との検証を行い,おおむね良好な結果が得られているが,理論と合わない部分があったため,その面はやや遅れていたと言える.しかし,現在検証を進め,原因が明確化しており,これにより設計論構築へつながると考えており,全体としては順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
福祉支援ロボット用昇降機の試作機は10kg程度の可搬であるため,この対応荷重を人の体重程度まで向上させたものを開発する.また,サービスロボット用のアームでは,実際の運動制御を実装し,タスクを実施し,実作業に対する頑強性についての評価を行う.さらに,実際の弾性体(ばね)には,自然長,初張力,許容変位量などの制約パラメータが存在する.また,ロボットの可動範囲・高低差を考慮することによって,ばねの要求仕様が異なるものとなる.そこで,それら仕様・パラメータを一般的に扱い,弾性体を利用した重力補償機構設計の基礎理論として位置付け,理論を構築することを考える.重力補償として要求される仕様を決めたときに,それを実現するための設計パラメータの範囲を明確化し,弾性体を選定できるだけでなく,誤差要因の解析を行うことで重力補償の誤差を最小化する手法を明らかにする.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は,前年度までの装置を最大限利用しつつ,改良・製作費として機械加工費・電子電気部品費を計上する.また,国内外の学会での調査・成果発表のための旅費を必要とする.さらに論文投稿費を計上する.さらに平成25年度は評価・改良のための機械加工費・部品費,学会での成果発表のための旅費,論文投稿費を想定している.
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