研究課題/領域番号 |
23560297
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
内村 裕 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (00416710)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ネットワークロボット / 分散制御 / 遅れ時間系 / 移動ロボット / 最適配置 |
研究概要 |
本研究では、複数の移動ロボットが無線通信を中継する配置に自律的に移動することによって無線ネットワーク網を構築し、探索ロボットの活動範囲を拡張すると共に、探索ロボットの移動に追従して動的に配置を最適化するための制御系を開発することを目的とする。当年度においては、適用対象の精査により要求仕様を明確化した後、中継器の最適配置のための分散制御則の構築、変動遅延を含む制御系に対する制御器の設計を行った。1.複数の中継ロボットの配置を最適化する分散制御系の設計複数の中継ロボットの最適配置を行うために、隣接するロボット間の位置(配置)を制御量とし、個別のロボットが隣接ロボットとの相対位置関係をもとに、自己位置を分散制御することで、集団目的を実現する設計を行った。同制御系の設計においては、隣接ノードの算出においては、センサネットワークにおける被覆制御問題のための手法であるVoronoi(ボロノイ)分割法を適用し、各ロボット間に相互作用する仮想力によって配置の最適化を行った。2.変動遅延を含むフィードバック系の設計と検証:ネットワークを通信路に含んだ制御系では、通信路上の遅延が制御系の性能を劣化させると同時に、系が不安定になる恐れがある。こうした制御系に対して、安定性を保証しつつ所望の性能を発揮する制御系の設計を行った、具体的には、変動遅延を含む制御系の設計において、制御性能の指標を周波数依存の重み関数によって与え、重みを含む拡大プラントに対して保守性を緩和したLyapnov-Krasovskii型の関数をベースにした LMI(線形行列不等式)条件を導出し、制御器の設計を行った。上記成果は、従来提案されていた手法(Voronoi重心法)による配置に比べ、計算コストが小さいためリアルタイム性が高く、災害時のような緊急性を要する場面における特に有効である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の中継ロボットの配置を最適化については、従来の手法(Voronoi重心法)に比して、格段に計算コストの小さい方法を考案し、複数の中継器を用いた数値シミュレーションを、建物内を模した環境(壁や部屋によって電波が遮断される環境)において行い、任意の初期状態から探索ロボットの動作に応じて所望の配置(最適配置)となることを確認した。また、移動ロボットを試作し、同ロボットを使用した実験を実際の建物内で行い、提案した手法が実環境下において実現可能であることを実証した。また、通信遅延を含む制御系の設計においては、周波数依存の性能を考慮しない設計であったのに対し、本研究では同性能を陽に考慮したことで、外乱に対して頑強な制御系を構築した。同制御系の有効性についてもシミュレーションおよび実験の両面から有効性を検証した。以上のように、実環境における実験も含めた検証段階にも進んでおり、おおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下のような方策のもとで研究を行う予定である。・変動遅延を含む制御系における制御器の設計について、従来に比べて保守性が低く、制御性を向上するLyapunov-Krasovskii汎関数について検討を行う。特に、完全二次型の汎関数について、昨年度中に行った安定解析を踏まえ、より適用範囲を拡大すべく検討を行う。同時に制御性能の指標を周波数依存の重み関数によって与えた制御器の設計について検討を行う。・無線ノード間の通信環境の定量化のため、無線ネットワーク機器を導入し、通信対象ノード間の受信電界強度やスループットを計測する。また、遅延やパケットロス等の通信品質に関わる特性と受信電界強度の間の関係を検証し、通信環境の数値モデル化を図る。さらに、上記課題をクリアした後は、実験用移動ロボットを使用して、実環境下における提案手法の有効性を実証する統合実験を行う。実験の結果を分析・検証し本研究の総括を図る予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度においては、実環境下で実験を行うための移動ロボットの試作機の改良を行うため、同ロボットの製作に関わる費用が必要である。また、大規模な実験を可能とするため同ロボットの台数を増やす予定である。さらに、研究成果を広く国内外で発表するための論文掲載費および旅費としても使用する予定である。
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