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2012 年度 実施状況報告書

自律移動ロボット群によって構築する無線通信網を介したネットワークベース制御

研究課題

研究課題/領域番号 23560297
研究機関芝浦工業大学

研究代表者

内村 裕  芝浦工業大学, 工学部, 教授 (00416710)

キーワードネットワークロボット / 分散制御 / 遅れ時間系 / 移動ロボット / 最適配置
研究概要

本研究では、複数の移動ロボットが無線通信を中継する配置に自律的に移動することによって無線ネットワーク網を構築し、探索ロボットの活動範囲を拡張すると共に、探索ロボットの移動に追従して動的に配置を最適化するための制御系を開発することを目的としている。
当年度においては、下記のように中継を行う各ロボットの最適な配置位置を算出するための手法の開発や、遅延を含む制御系の設計における保守性を緩和する理論の構築を行った。
1.最適中継位置を算出する指標として、受信電波強度を導入した。同強度は、中継ロボット間の通信速度に強い相関があるうえ、取得時間が短いため、通信速度を測定する間にロボットが移動することによる測定誤差の問題が解消する。一方、受信電界強度は極めて変動しやすいため、ロボット間距離を積分変数とする低域通過フィルタを適用し、強度値の変動によってロボットが必要以上に振動的な動作をすることを抑制した。
2.中継時に発生する遅延を含む制御系(遅れ時間系)の性能を向上するため、従来のリャプノフ・クラソフスキー関数に替えて、完全二次型の関数を導入し、性能劣化の要因となる保守性を軽減した。また、同関数の微分によって安定性を確保する数値解を算出する際に、安定条件を与える行列の算出過程を改良することで実装可能な解を導き出すことに成功した。
3.上記理論面での検討を踏まえ、コンピュータ上での数値シミュレーションを十分に行い、提案手法の有効性を確認した。その後、昨年度までに製作した複数の移動ロボットを使用し、壁などによって電波の伝搬が阻害される屋内環境において検証実験を行った。また、翌年度の総合実験の準備段階として、探索ロボットを人型ロボットとした基礎実験を併せて行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究の実施においては、前年度成果について自己評価および学会等で発表した際に指摘された点を十分検討し、当初計画における手法を、より改善し性能を向上する手法を考案、実装した。また、同手法の検証は、数値シミュレーションおよび検証実験を繰り返し行って検討し妥当性を確認している。
以上のように、本年度においては実環境における実験も含めた検証段階にも進んでおり、おおむね順調と判断した。

今後の研究の推進方策

次年度は本研究課題の最終年度であり、下記のような方策のもとで研究を行うと同時に、これまで構築した成果を統括する総合実験によって、本研究の総括を行う予定である。
1.中継移動ロボットの自律性を向上するために、ロボットの自己位置を推定する機能の導入を目指す。ロボットに搭載したセンサによって、外界(環境)を自律的に測定することで、環境地図を構築し、同地図を他の移動ロボットと共有することで、互いの位置関係をより正確に取得する手法を開発する予定である。
2.通信を含む制御系の設計においては、実際の制御対象のモデルを陽に考慮した制御系について制御器の設計を行い、同制御器によって系を安定かつ性能を向上することを目指す。
3.実際の建物内において、受信電波強度および実質通信速度(スループット)をリアルタイムに計測しながら、中継ロボットの位置を自律的に制御する統合実験を行い、本研究の実用性についての検証を行う。

次年度の研究費の使用計画

次年度においては、移動ロボットが自己位置を推定するための機能の実装に関わる、計測装置や同推定をソフトウェアで行うためのプラットフォームとなる演算装置などの導入に関わる費用が必要である。
また、広範囲な実験を可能とするため、従来とは異なるタイプロボットの台数を増やす予定である。さらに、研究成果を広く国内外で発表するための論文掲載費および旅費としても使用する予定である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 二足歩行ロボットの不整地における安定判別法2013

    • 著者名/発表者名
      森慶太,福居文幸,内村裕
    • 雑誌名

      電気学会論文誌D

      巻: vol.133,No. 3 ページ: 320-327

    • DOI

      10.1541/ieejias.133.320

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 探索範囲を最適化したマップマッチング法による自律移動ロボットの制御2013

    • 著者名/発表者名
      小宮 康平,宮下 隼輔,丸岡 泰,内村 裕
    • 雑誌名

      電気学会論文集 Sec. D

      巻: 133 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 周波数依存性能重みによる変動時間遅れシステムのロバストH∞制御2012

    • 著者名/発表者名
      長原正法,荒井慎悟,内村裕
    • 雑誌名

      電気学会論文誌D

      巻: vol.132,No. 6 ページ: 616-624

    • DOI

      10.1541/ieejias.132.616

    • 査読あり
  • [学会発表] ロボット制御の視点で見た無線通信の課題と期待2013

    • 著者名/発表者名
      内村 裕
    • 学会等名
      電子情報通信学会 モバイルマルチメディア通信/アドホックネットワーク 研究会
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      20130315-20130315
    • 招待講演
  • [学会発表] 受信信号強度とベイズフィルタリングによる無線ロボット群の自律配置制御2013

    • 著者名/発表者名
      斎藤 崇彰
    • 学会等名
      電気学会 産業計測制御研究会
    • 発表場所
      千葉大学
    • 年月日
      20130308-20130308
  • [学会発表] 完全二次Lyapunov-Krasovskii 汎関数に基づく遅れ時間系の出力フィードバック制御2013

    • 著者名/発表者名
      皆川 大樹
    • 学会等名
      電気学会 産業計測制御研究会
    • 発表場所
      千葉大学
    • 年月日
      20130308-20130308
  • [学会発表] H∞ output feedback controller based on complete quadratic Lyapunov-Krasovskii functional for time delay systems2013

    • 著者名/発表者名
      内村 裕
    • 学会等名
      IEEE International Conference on Mechatoronics
    • 発表場所
      ビチェンチャ・イタリア
    • 年月日
      20130227-20130227
  • [学会発表] Controller design based on complete quadratic Lyapunov-Krasovskii functional for time delay systems2012

    • 著者名/発表者名
      内村 裕
    • 学会等名
      IEEE International Conference on Industrial Electronics, Control and Instrumentation
    • 発表場所
      モントリオール・カナダ
    • 年月日
      20121027-20121027
  • [学会発表] アドホックネットワークを構築する中継ロボット群の自律配置2012

    • 著者名/発表者名
      今泉貴敬
    • 学会等名
      ロボット学会学術講演会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      20120918-20120918
  • [学会発表] 無線ネットワークを中継するロボット群の配置制御2012

    • 著者名/発表者名
      額田将範
    • 学会等名
      電気学会産業応用部門大会
    • 発表場所
      千葉工業大学
    • 年月日
      20120821-20120821
  • [学会発表] 無線ネットワーク中継のための自律移動ロボット群の配置制御2012

    • 著者名/発表者名
      額田将範
    • 学会等名
      機械学会ロボティクスメカトロニクス講演会
    • 発表場所
      浜松
    • 年月日
      20120529-20120529
  • [備考] 機械制御工学研究室 研究内容

    • URL

      http://www.rcon.mech.shibaura-it.ac.jp/theme/index.html

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公開日: 2014-07-24  

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