研究課題/領域番号 |
23560298
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
畠山 省四朗 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (40138954)
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研究分担者 |
岩瀬 将美 東京電機大学, 未来科学部, 准教授 (50339074)
井筒 正義 東京電機大学, 未来科学部, 助教 (60550580)
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キーワード | 操作支援 / 安定化制御 / インターフェース / モデル化 / Human Adaptive / 身体自励運動 / 引き込み現象 / パラメトリックノイズ |
研究概要 |
本研究は,不安定系操作時に自らの身体の一部を振動させる運動(身体自励運動と呼ぶ)を行うことによって,操作技術が向上する仕組みの解析と,その仕組みを利用した操作技術熟達支援インタフェースの開発を目的としている. この目的のもと,H24年度は身体自励運動と熟達操作の関係をモデル化することを目標に設定していた.このため,不安定系の対象として挙げていた棒立て操作において,操作者が意識的に棒を立てようとする"Act"動作とあまり積極的に安定化操作を行わない"drift"状態の2状態間を状態遷移することによって棒立て動作を実現しているというモデルを提唱し,その有効性を実験的に検証した.この成果を国際学会にて成果発表している. さらに,身体の随意運動と身体動作とをモデリングする手法として,表面筋電位と身体運動の関係に着目する方法を展開した.手首動作を行う筋に対する表面筋電位を計測し,その筋電位情報から手首運動を事前(およそ30~100ms前)に推定するアルゴリズムとマンーマシンインタフェースを開発した.推定精度も対象機器を動かすには十分な精度を確保することができた.これにより身体自励運動の実施・不実施による筋電位情報の差異,モデルによる推定運動の差異を抽出できる環境を整備することができた.この結果は,雑誌論文へ投稿し,すでに収録されている. 以上より,平成24年度は概ね研究計画通り順調に進行しており,最終年度にあたりH25年度に予定している実験的な検証への準備を進めることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では,H24年度中に,身体自励運動と操作熟達の関係のモデル化とそのモデル検証,および身体自励運動を考慮したマンーマシンインタフェースの構築,最適な身体自励運動の設計,の3点を行う予定であった. このうち,モデル化およびモデル検証については,研究計画で挙げていた棒立て操作を対象として"Drift-Act"モデルを提唱し,実験的にそのモデルを検証できた.この成果は国際学会で発表するに至った. また,マンーマシンインタフェースの構築では,棒立て操作に使われる手首運動に関して,筋電位情報から手首運動を事前に推定するアルゴリズムと装置の開発に成功した.この結果は,雑誌論文に投稿し,すでに収録されている. 現在,3つ目の課題である最適な身体自励運動の設計について検証を進めている段階である.このことから,研究計画に沿って概ね順調に進展しているものと考える.
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今後の研究の推進方策 |
H25年度は,本研究の最終年度にあたり,研究計画上では,操作熟達を向上させる最適な身体自励運動を設計し,ウェアラブルなマンーマシンインタフェースを通して操作者へ適切な身体自励運動を促すことによって,操作熟達度の促進または操作技術の向上を図ることを目的に据えている. そこで,H24年度までに整えた"Drift-Act"モデルおよび筋電位-身体運動推定アルゴリズムから,まず身体自励運動の実施・不実施による操作者動作の変化について観察を行い,"Drift-Act"モデルへ身体自励運動の効果を盛り込む拡張を行う. さらに,さらにそのモデルに基づいた最適な身体自励運動の設計を検討し,設計された身体自励運動を操作者に促すためのウェアラブルなマンマシンインタフェースの構築を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画では,H24年度中にウェアラブルマンマシンインタフェースの構築に取り掛かる予定であったが不十分であったためにH24年度執行予定額を下回った.そのため,この差額分はH25年度分と合算し,今後の研究推進方策にもあるように,ウェアラブルなマンマシンインタフェースの完成を目指す予定である.
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