インチワーム型多自由度アクチュエータの位置決め装置の開発を行った。電圧印加によって数ミクロンの変形が得られる圧電素子を用い,超精密動作を試みた。その動作は数ミクロンに限られるためインチワーム型の多自由度アクチュエータとした。圧電素子の発生する数ミクロンの変形を繰り返し,大きな変位を得た。複数の圧電素子を異なった方向に変形するするように組合せ,多自由度動作を実現した。 平板ステージ,半球状ステージをインチワーム型アクチュエータに搭載し,ステージ面の並進動作と回転動作を得た。平板状のステージを用いた場合には,平面内での並進2自由度と鉛直軸周りの回転1自由度の動作に加えて,傾き方向の2自由度微動を得た。半球状ステージを用いた場合には,傾き方向の傾斜角度を大きくすることができた。高さ方向の微動とあわせて6自由度動作が可能になった。ステージに搭載する質量を増加させて動作特性を求めた。質量増加に伴い,変位量が小さくなることが明らかになった。位置の保持に電磁石を用いているが,電磁石の保持力の影響を受けているものと思われる。 圧電素子の振動により生じるスクイーズ膜効果によって,非接触支持が可能になった。非接触状態で位置を保持できるため,摩擦の影響を除去でき,相対的に摩擦の影響が大きいマイクロメカトロニクスにとっては重要な利点となる。さらに,圧電素子への入力信号をもとにアクチュエータの動作を推定する方法を試みた。入力電圧と入力電流から圧電素子の消費電力を求め,動作推定を試み,推定結果と実測結果を比較した。
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