反磁性グラファイト(PG:Pyrolytic Graphite)は大きな負の磁化率を有する弱反磁性物質である。またPG板試料はその端部形状と周辺磁場に依存した反磁性磁気反発力が誘導され、PG板試料は室温で非接触に安定な磁気支持と非接触駆動を実現する。このPG板に作用する反磁性磁気反発力は静磁界中でも起こる現象であることから、準静的な観測方法によって計測することが可能となる。このような背景を経て、本申請研究では、PG板試料端部を特殊な形状に加工すること、磁場との相互関係により、PG板試料端部に作用する反磁性磁気反発力の特性を明らかにし、「PG板の形状設計による高効率非接触駆動」に関する基礎研究を進めた。 当初計画では、平成23年度から25年度までに以下の5項目の実験を予定した。(A)「PG板試料形状に依存した反磁性磁気反発力の精密な準静的計測」、(B)「PG板試料の厚み方向への形状加工による反磁性磁気反発力の特性観測」、(C)「直線状永久磁石軌道上に形成される磁場勾配に依存したPG板試料の反磁性磁気反発力の観測」、(D)「連続に配置した永久磁石小片によって形成される磁場における、端部形状の異なるPG板試料、および連結するPG板試料に作用する反磁性磁気反発力の観測」、(E)「同心円状永久磁石上に連続配置した永久磁石小片によって形成される磁場における、弧状PG板試料の非接触駆動の観測」。平成25年度までに上記項目の(A)、(B)、(C)、および(D)の一部を実施し、その成果をリニアドライブ国際会議(LDIA2011)で発表、国内では電気学会等で口頭発表をおこなった。 平成26年度の実績:上記項目の(D)、(F)について研究を進め、成果の一部を電気学会、日本AEM学会にて5件の口頭発表をし、平成27年度開催の国内シンポジウム2件、およびリニアドライブ国際会議へのエントリーを完了した。
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