研究課題/領域番号 |
23560313
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
東山 禎夫 山形大学, 理工学研究科, 教授 (50144209)
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研究分担者 |
南谷 靖史 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (10323172)
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キーワード | 回転電界 / 共振振動 / 微小水滴 / 電界撹拌 / 粘性液体 |
研究概要 |
水滴との接触角が150°以上となる超撥水性材料上に置いた水滴の電界下での共振振動による挙動を明らかにすることを目的として,平行交流電界下および半波正弦波形による交互直交電界下での水滴の挙動を調査た。水滴の回転運動を観察できるように加工したアクリル板表面に超撥水性塗料を塗布し,その上にマイクロピペットにより体積50マイクロリットルの水滴を静かに置き,アクリル板と平行に電界を印加して,水滴の共振振動による水滴の変形を観察した。撥水性材料であるシリコーン(SiR)板およびPTFE板上の水滴の挙動との比較を行った。さらに蛍光体を混入した水滴とイオン交換水の水滴を電界により接触させて攪拌し,紫外線を照射して水滴内の蛍光体の分布から水滴内の液流の状態を観察し,撹拌性能を評価した。その結果,電界下の水滴は超撥水性材料を用いたとき最も大きく変形することが明らかになった。また,イオン交換水にポリエチレングリコールを混ぜて粘度を高めた水滴では,電界による共振時の変形量は小さくなった。蛍光体を混合させた水滴を接触させると電界により大きく変形し,水滴内の蛍光体を一様に攪拌できることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.粘性液体の電界中の挙動解明と混合可能な粘度の把握 平成23年度に検討した水滴の挙動を踏まえ,エチレングリコールを混ぜて粘度を高めた液滴を絶縁板上に置き,粘度および液滴の導電性と電界による変形の大きさの関係、混合可能な液滴の粘度の上限を実験的に明らかにすることができた。 2.二種類の微小液体の混合速度の把握 2種類の液滴を合体させたときの回転運動により大きな変形を起こさせるために直交電界を用いて混合速度を把握する。水滴を静置した場合,液滴内部の液体の動きを把握するために,片方の液滴には予め蛍光物質を導入し,蛍光物質を加えた液滴内の紫外線照射による発光分布状態の時間変化を高速度カメラにより捉えることができ,時間変化を把握することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.絶縁板上の液滴のハイブリッド電界下での挙動 テフロン板上に置いた共振周波数の回転電界と垂直あるいは斜め方向から独立した電界を加え、規則的な回転電界に不規則な擾乱を与え、水滴内の液体の流れを乱すことにより撹拌を促進する。 2.撥水性の絶縁板上に置いた直径20~500マイクロメートル程度の大きさの微小水滴を変形させる方法について検討する。このとき、ペルチェ素子で絶縁板の温度を変化させることにより、微小水滴の粘度や表面張力を変え、水の物理的特性の変化と変形の大きさとの関係を把握する。また、撥水性の膜で塗布した針電極先端に微小水滴を導入し、強い電界のハイブリッド電界中で、回転運動を起す方法について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
撥水性絶縁板情上に置いた水滴の水滴の表面張力や粘度を調整しながら,水滴の撹拌性能を調べるために,温度を調整できるような温度調節可能なステージを備えた顕微鏡を購入する。電界を印加した状態で観察できるように長焦点のレンズを使用する。研究成果の発表のために,旅費,印刷費として研究費を使用する。
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