研究課題/領域番号 |
23560315
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
垣本 直人 茨城大学, 工学部, 教授 (70136133)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 太陽光発電 |
研究概要 |
本年度はリチウムイオン電池パックの制作を行った。20個の電池を4並列5直列にしたパックを制作した。パックの電圧は20V、電流は8Aである。1)1つめの実験ではこのパックを3つ並列にしたものを、太陽電池パネル1枚と接続した。パネルからの電流を電池パックに貯蔵し、毎日一定量を負荷に供給するものである。負荷として電子負荷装置を用いた。この実験の目的は、太陽発電システムの信頼性を調べるものである。パネルの出力は天候によって大きく変動する。くもりや雨の日は、指定した負荷を供給できないことがある。そこで、電池パックに一定量のエネルギーを貯蔵することによって、ほぼ毎日一定量の供給が可能であることを示す。まず、日立市における過去10年間の日射量を調べ、その解析を行った。水平日射量を傾斜面に補正し、その値と発電量の関係を調べたところ、ほぼ比例関係にあることを確認した。したがって、日射量から供給の信頼性を見積もることができる。本研究では一日10Ah供給するものとし、1日分の予備を蓄えるものとした。解析では1年間に11日、供給が不足する。実験を9月から継続しているが、現在までのところ7日不足し、ほぼ解析どおりの結果となった。この成果はIEEEの論文誌に投稿する予定である。また、この間、電池の電圧はきわめてよく揃っており、とくにセルバランスが必要となることはなかった。セルバランス回路も制作したが、不要であることがわかった。2)二つめの実験は、電池の劣化に関するものである。4つの電池を並列にして劣化の進みぐあいを調べた。その結果、劣化は均一に進行するものであり、4つの電池がひとつの電池として働くことがかなり確実であることが明らかになった。現在は、電池のモデリングを進めている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究により、本研究の用途ではセルバランス回路が不要であることが明らかになった。したがって、平成23年度に予定していた研究は完了したといえる。
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今後の研究の推進方策 |
1)本研究で制作した電池パックは、電池電圧のばらつきがなく、ひとつの大きな電池として扱うことができる。これは、電池の劣化が均一に進行することを意味する。したがって今後は並列した電池の劣化がどのように進むかを調べる。2)また、電池の基準電圧や電流の選び方によって劣化の進み具合が異なるので、この点も検討したい。電池の寿命が長くなるような運用方法を検討する。3)パネルの枚数を5枚に増やし、電池パックの数を15にしたシステムにおいてインバータ制御を行う。電池パックの電圧を一定に保つように出力を調整する。このような運用において、電池パックが正常に動作することを確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
電池パックの寿命に関する測定を行うので、電池およびパック用の材料を新たに購入する。また、研究成果の印刷や、計算結果の出力にプリンタ用紙やトナーを使用する。研究成果を国内学会や国際会議で発表するのに、学会参加料および旅費が必要であるので、そのために研究費を使用する。
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