研究概要 |
今年度は、赤外線カメラ(Wiiリモコン)と低周波磁界測定器を用いたリアルタイム電磁界可視化システムを完成させた。IH調理器や核融合研究施設の超電導コイル用電源設備などの低周波磁界分布測定に適用し、2次元分布、3次元分布の可視化を行った。以上の成果の一部は、9月にベルギーのブルージュで開催されたEMC Europe 2013にて報告した。また、電磁界測定器2台を用い、1台を定点観測用とし、時間変動電磁界に対する出力最大時の電磁界分布を推定して可視化する方法については一定のめどが立った。その成果は台北市で行われた2013 Asia-Pacific Radio Science Conferenceで報告した。低周波磁界測定器をICNIRPの指針適合性評価に用いる場合に旧指針用の測定器を新しい指針で評価する方法についても検討した。その成果は10月に東北大学で開催された環境電磁工学研究会にて報告した。さらに、可視化システムの簡易化や無線化を試み、Kinectを利用した電磁界の可視化およびシングルボードコンピュータやタブレット端末を用いた電磁界可視化システムの提案を行った。これらは、3月に新潟大学で行われた電子情報通信学会2014年総合大会で報告した。 研究期間全体を通して、日常生活で出会う電磁環境の安全性評価をリアルタイムで可視化できるシステムをおおよそ構築できた。本システムを電磁界の安全性に関する啓蒙活動・教育活動に適用することで、電磁波が目に見えないことに起因する一般市民の不安を解消することが可能となる。 なお、磁界ベクトル分布測定を行うため、磁界のx,y,z各成分の絶対値データより符号を推定するアルゴリズムを検討したが、システムの完成には至らなかった。また、当初予定していたリアルタイム波源探査についても、Kinectを用いたコンパクトな可視化システムの開発を優先したために今後の課題となっている。
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