研究課題/領域番号 |
23560321
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
宮崎 敏昌 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (90321413)
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研究分担者 |
大石 潔 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (40185187)
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キーワード | 2関節筋機構 / ロボット位置制御 / ロボット力制御 |
研究概要 |
本研究は、生物の脚・腕の機構のもつ柔軟さや瞬発性をロボットで再現することで、ロボットの適用範囲を広げることを目的としている。生物の脚機構には2関節筋と呼ばれる2関節を同時に駆動する特殊なアクチュエータが存在しており、これによって足先を自在にコントロールしている。実験装置に用いている2関節同時駆動機構の構成を検討して、2関節筋機構を再現する遊星歯車機構とモーターと主減速器の位置関係によって、軽量で衝撃荷重に強い関節機構を実現することを確認した。これは、機構のCAEシミュレーションと数学モデルの両者から、主関節分配トルクと、相互干渉トルクをそれぞれに演算し、同様の結果を得ている。次に、これらの駆動機構の制御構造について検討した。このような関節駆動システムでは、モータからリンクまでが複雑に相互干渉するような形式となっているため、単純な制御モデルを作成することが難しい。そこで、3つのモータと2つのリンクを持つ5慣性系のモデルを提案した。このモデルは、モータとリンク及びギアが相互にバネ要素で結合されたモデルとなっており、振動及びバネによるねじれ誤差を考慮した正確な位置制御に必要な数学モデルである。このモデルを用いることで、ロボット先端の振動を抑えつつ正確な位置制御を実現できる。 平成24年度には、平成23年度までの研究成果を踏まえ、2リンクマニピュレータの先端位置制御系の高精度化と力制御の実現を行った。位置制御系の高精度化のため、物理モデルに基づく新しい2関節筋動的モデルを提案し、新しい振動制御系を採用した。結果として位置制御系の制御ゲインを高めることが可能となり、高精度化を達成することが可能となった。次に、力制御については、2関節筋の力拮抗モデルから、2関節筋の分配率を検証して各モータにトルク分配することで先端の力方向を自由に制御可能な制御方法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
筋骨格機構の特徴である2関節同時駆動方式を、従来の回転型アクチュエータを組み合わせることで実現するために、遊星歯車機構を持つ機構を用いて、2リンクマニピュレータを作成した。このマニピュレータをもちいることで、本研究では、高精度軌跡制御・接触力減衰制御を核とする力と位置の同時制御による人間協調モーションの実現を目指している。 平成24年度までに、高精度軌跡追従制御に必要な振動モデルについて提案した。また力制御については、機構の特徴を利用した制御系を開発した。これらにより各制御については実施が可能となったが、一方で、両者を合わせた同時制御への実現について、達成が出来てない。この主たる原因は、2関節同時駆動方式に採用している遊星歯車機構の設置方法による物であり、様々な解析の結果からその解決策について概ね目処がついており、早々に解決が可能となるもくろみである。
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今後の研究の推進方策 |
平成25 年度においては平成24 年度までの研究成果から、本研究の目的である「2 関節同時駆動機構を持つマニピュレータに対する3 次元内位置・力の同時制御手法の実現」を行う。平成24年度の研究目標となっている2関節同時駆動方式についての検討を進め、解決次第、3次元への拡張を進める。 その際に、2関節同時駆動方式について新方式を採用し、実機を新たに作成する。作成する実機では、3リンクマニピュレータを採用し、その制御系を改めて実装する方式とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究を遂行するために、新たに旋回軸を構成アクチュエータとして、減速機付きブラシレスDCサーボモータ(MAXON EC-max 他) 及びモータドライブを150 千円を、ロボット制御用の高速演算可能なDSP ボード(TI DSKC6713) を1 台50 千円を、DSP ボードとアクチュエータドライブインターフェースボード(HEG C6713IF-A) に280 千円を、設備品として計上する。また、アクチュエータの取り付け・リンク・ロボットの設置に関わる機構部品一式に300 千円を、DSP ボードや測定センサ及びその周辺回路を作成するための電子部品一式に250 千円を、それぞれ消耗品として計上する。また、前年度の研究成果を発表するための旅費として180 千円を計上する。さらに、本実験補助の大学院生2 名への謝金として90 千円を計上する。
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