研究課題/領域番号 |
23560322
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
関川 純哉 静岡大学, 工学部, 准教授 (80332691)
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キーワード | アーク放電 / 電気接点 / 高速度カメラ / 電磁リレー / 接触 / 分光 / コネクタ |
研究概要 |
平成23年度までに高速度分光撮影の基本的な測定手法を確立した。開離時アーク発生中の電気接点表面の画像と開離時アークの画像を、異なる2台の高速度カメラで同時撮影することができるようになった。各画像はそれぞれ特定の波長のみを撮影することによって得られた。平成24年度では、特に接点表面状態の画像を詳しく解析することで、接点表面の状態変化を開離時アークの移動特性とを直接関連付ける観点から、接点表面の状態が進展する過程を調べた。 接点材料としては純銀(99.99%)を用いた。試料接点対の形状は直径5mm、長さ20mmの円柱であり、その端面を接触面として開離アークを発生させた。被撮影側の接点表面は平面、対になるもう片側の接点表面は曲面とした。家庭用直流給電や自動車用電装品の中負荷領域を想定して、電源電圧は直流48V、回路電流は10A程度とした。高速度カメラの撮影速度は1000コマ/秒であり、二台のカメラの撮影タイミングは同期している。 接点表面の画像から、表面状態の変化が起こった位置を画像解析によって特定し、開離時アーク発生後の接点表面状態と比較した。画像解析の方法としては、異なる時刻で撮影された画像の差分を計算した。その結果、接点表面上に残された痕跡が形成された時刻を特定することができた。この時、開離時アークのアーク足はその痕跡部分には直接触れていなかった。これにより、開離時アークが直接接している位置の接点表面の変化だけではなく、直接接していない領域が形成される様子が分かるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高速度分光撮影による接点表面状態と開離時アークとの同時撮影の結果から、接点表面上での痕跡の形成過程が分かるようになったことから、本年度の目的は達成できている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果を発展させ、計画に沿って他の実験条件での実験を実施する。接点表面撮影のための開離時アークの長さは、これまでに実施した実験条件の範囲内で十分確保できることが分かった。しかし、開離時アークの長さが短い場合について、興味深い結果が得られそうであるため、その撮影に挑戦する。アーク長さが0.1mm程度と短い時期において、開離時アークの放電モードが変化していると予想されるため、この変化の前後での接点表面状態の撮影ができれば消耗過程の理解をさらに深めることができると考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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