これまでの成果として、初年度の平成23年度には高速度分光撮影による基本的な測定手法を確立した。電気接点の表面を青色のLEDで照らし、その波長の光のみを一台の高速度カメラで撮影し、開離時アークが発生している最中の電気接点表面を観察した。同時に、もう一台の高速度カメラで銀蒸気が発する光のみを撮影し、開離時アークの様子を見た。次年度の平成24年度には、接点表面と開離時アークとの同時撮影画像から、開離時アークの移動特性と接点表面の状態変化との関連について報告した。 平成25年度には、実験条件(回路条件、開離速度)を拡大し、純銀以外の接点材料も使用した。接点材料としては純銀(99.99%)に加えて、銀酸化錫(Ag/SnO2 12wt%)を用いた。試料接点対の形状は直径5mm、長さ20mmの円柱であり、その端面を接触面として使用した。被撮影側の接点表面は平面、対になるもう片側の接点表面は曲面である。電源電圧は直流48V、接点接触時の回路電流は8A~12Aとした。 開離時アーク発生中の接点表面を撮影した画像を解析し、痕跡の領域が時間経過とともに拡大していく様子を定量的に観察することができた。電気接点対の開離速度が速い場合には、接点間隙が同じ場合で比較すると、痕跡の領域の広がりが遅いことが分かった。また、銀酸化錫接点対を用いて、純銀と同様の高速度分光撮影が可能であることを示した。
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