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2011 年度 実施状況報告書

高密度パルス放電プラズマを用いた機能性アモルファスカ-ボン成膜装置の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23560324
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

木村 高志  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60225042)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードアモルファスカーボン / ダイヤモンドライクカーボン / パルスプラズマ / マグネトロンスパッタ
研究概要

高密度放電プラズマによる機能性アモルファスカーボンの均一成膜(コーティング)を、物理的な知見にもとづき実現することを研究目的としている。 本研究では、まず、炭素をターゲット材料とした場合のパルスマグネトロンスパッタリング放電プラズマの特性を知るために電気的測定および発光分光測定を行った。パルス電圧印加の繰り返し周波数を40-55Hz、パルス電圧の印加時間を50-300μsの範囲で、パルスプラズマ中での消費電力を一定となるように設定して実験を行った。パルスプラズマ形成時で30-40Aの放電電流(1平方センチメ-トルあたり1A程度の電流密度)が流れた時、瞬時電力は20-30kWに達した。測定した電流(密度)をもとにパルスプラズマ中の電子密度を推定したところ単位体積あたり10の19乗オ-ダの高密度になっており、加えて、発光分光により、励起した炭素原子イオンからの発光をターゲット近傍で観測することができた。一方、同-の消費電力条件下での直流マグネトロンスパッタ放電プラズマ中では炭素原子イオンからの発光は観測されていないことから、パルスマグネトロンスパッタリング放電プラズマを用いた場合に炭素イオンの高密度化が実現できていることがわかった。このことより、パルスプラズマを用いて高密度炭素イオン入射によるダイヤモンドライクカーボン(DLC)成膜が可能となった。 次に、同一の消費電力条件下でシリコン基板上にDLCを成膜した結果、DLCの成膜速度はおよそ4-5nm/minであったが、ナノインデンターで測定したDLCの硬度は放電電流の増加に伴い徐々に増加して、放電電流が30Aのとき18-19GPaに達した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

パルスマグネトロンスパッタリング放電プラズマを用いて、高密度炭素イオンの基盤材料入射によるダイヤモンドライクカーボン成膜を実現した。また、パルスマグネトロンスパッタ法で作製したダイヤモンドライクカーボン膜の硬度などの膜特性に関し、従来の直流マグネトロンスパッタ法に比べ優位性を見いだすことができた。

今後の研究の推進方策

プラズマ中の物理・化学プロセスを理解し、高密度パルスプラズマの機能性アモルファスカーボン成膜プロセスへの適用性を検討することを本研究の目的とする。その目的を達成するため以下の研究の推進をはかる。1. 誘導性結合型放電プラズマによる機能性アモルファスカ-ボン成膜ならびにプラズマ特性に関する実験的ならびに理論的研究 2. パルススパッタリング方式と誘導性結合型放電方式を複合した機能性アモルファスカーボン成膜装置の試作 なお、アルゴンガスで希釈された誘導性結合型パーフルオロカーボンガスプラズマによるアモルファスカーボン成膜では膜硬度等の改善が困難であったため、ハイドロカーボンガスとパーフルオロカーボンガスの混合ガスを用いた誘導性結合型放電プラズマを用いる。

次年度の研究費の使用計画

パルスマグネトロンスパッタリング放電プラズマでは、高密度プラズマを繰り返し周波数200-2kHzで生成する必要があるため、高耐圧・高電流の高速半導体スイッチHTS 31-80(ベルケ社)が必要である。次に、プラズマ中のガス組成を推定するためにパルスプラズマからの発光の時間分解測定に加えて、アモルファスカ-ボン膜の形成にあたり重要な原子の密度を測定するため吸収分光測定が必要である。発光の時間分解測定は既存の分光器とAPD検出器を組み合わせた装置で測定するが、吸収分光測定では既存の分光器と光源ランプを組み合わせた装置が必要となる。そのため、光源ランプを購入する予定である。主要な消耗品は、放電プラズマ容器ならびに回路部品費(高耐圧高容量コンデンサ、IGBT、MOS-FET等)ならびに各種気体である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Deposition of diamond-like-carbon films by high power pulsed2011

    • 著者名/発表者名
      T. Kimura and M. Iida
    • 学会等名
      International Symposium on Dry Process
    • 発表場所
      Kyoto Garden Palace Hotel
    • 年月日
      2011.11.11
  • [学会発表] DLC成膜向け高電力パルスマグネトロンスパッタリングプラズマの特性2011

    • 著者名/発表者名
      木村高志, 西村亮太郎, 飯田将康
    • 学会等名
      Plasma Conference 2011
    • 発表場所
      石川県立音楽堂
    • 年月日
      2011-11-24

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公開日: 2013-07-10  

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