研究課題/領域番号 |
23560325
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
小田 昭紀 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (70335090)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 大気圧プラズマ / シミュレーション / ナノカーボン材料 / メタン / 水素 / ヘリウム |
研究概要 |
最近、従来の半導体製造技術に代表される低圧プラズマを利用したプラズマ応用技術に対し、次なるプラズマ源として非平衡大気圧プラズマ技術が材料プロセス分野はもとより、環境や医療・バイオ分野への利用が有望視されている。本プラズマ技術を確立するためには、大気圧環境下において起こりやすい不均一プラズマ(ストリーマ)を起こさずに、その放電条件(ガス種、印加電圧、放電間隙長など)を制御することによって均一プラズマを如何にして発生させる技術を開発するかが非常に重要となる。そこで、当該年度では、均一および不均一プラズマ形成メカニズムを放電プラズマ基礎過程に立脚した見地から解明し、その上で可能な限り高価なヘリウムの使用を抑えた環境下で均一な大気圧プラズマ生成技術の確立を目的として、カーボンナノチューブやダイヤモンドライクカーボン薄膜創製用の炭化水素ガス下における大気圧プラズマを研究対象に、その放電モデルの構築を行い、その計算(シミュレーション)を実行するためのプログラムコード作成を行った。本放電モデルは、数密度連続の式、ポアソンの式、電子エネルギー保存式、熱流体方程式(放電ガスに関する質量保存式、運動量保存式、エネルギー保存式)などの支配方程式から構成されている。それに加えて、本放電モデルを構築する上で必要不可欠な基礎データ(ハイドロカーボンおよびヘリウムガス下での電子衝突断面積、衝突反応レート係数、イオンの移動度・拡散係数など)の収集および更新を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書作成段階で掲げた当該年度の目標である「大気圧プラズマモデルの構築」、「本プラズマのシミュレーションコードの作成」、「本計算に必要不可欠な最新の基礎データの収集・更新」、これら目標を順調に遂行できたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては、まずは大気圧プラズマ生成のための外部条件(例えば、メタン、水素、ヘリウムガスの混合比、印加電圧、放電間隙長や駆動周波数等)を種々与えることによって、得られる放電プラズマの形態が均一プラズマとなるか不均一プラズマとなるかを調査し、そのメカニズムを解明する。具体的には、放電発生のための種電子をプラズマ空間内に配置し、そこからの時間空間発展の結果、均一プラズマとなるか不均一プラズマとなるかを印加電圧、放電間隙長や駆動周波数をパラメータにして調査する。得られた結果から、均一プラズマの得られる条件範囲をパラメータ毎に割り出し、均一な大気圧プラズマ生成へ向けた制御指針を見出した上で均一化技術を体系化する。 それと併せて、本研究で取り扱っているプラズマを実験的にも生成し、シミュレーション結果との比較することを検討している。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究期間初年度(平成23年度)は、大気圧プラズマモデルの構築ならびに計算コードの作成がメインであったため、本作業は既存の計算機環境で行った。そこで、研究期間2カ年目(平成24年度)では、前年度で作成したシミュレーションコードを実行するための計算機環境を新規に購入する予定である。また、大気圧プラズマ生成実験も検討しているため、その環境構築のための実験用物品を購入予定である。
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