研究課題/領域番号 |
23560326
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
石田 宗秋 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70135317)
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研究分担者 |
山村 直紀 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80252310)
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キーワード | スマートグリッド / 複合型自然エネルギー利用発電システム / 燃料電池模擬装置 / フライホイール電力貯蔵装置 / 電気二重層キャパシタ |
研究概要 |
本研究は自然エネルギー利用発電システムと燃料電池発電システムを発電装置とし,フライホイール電力平準化装置を組み合わせた複合型マイクログリッドシステムを配電系統に連系し,使用する際配電系統に影響を与えないよう各装置を協調させスマートグリッドとして動作させることにより,脈動電力の安定化を行う手法を提案するものである。本提案法は,一般的にベース電力として運転される燃料電池を積極的に電力脈動の補償に用いることでフライホイール電力補償装置の補償容量の軽減を図っている。 本年度は前年度に提案した,燃料電池模擬装置の実機実装を行った。当初理想電圧源によるモデルを想定していたが,実際の電力増幅装置は電圧源ではなく,出力インピーダンスも含んでいるため,そのままで回路を実装することは出来ず,電源インピーダンスを考慮した等価回路に変換し,モデルに適用した。その結果当初予定の100kHz迄の帯域でのモデルの実機実現は困難であったため,1kHz迄の特性を模擬する装置を試作した。その結果を平成25年電気学会全国大会にて発表を行った。 また,電力補償装置として用いられるフライホイールシステムおよび電気二重層キャパシタについて,応答性向上のための制御アルゴリズムの改善を行った。フライホイールについては速度オブザーバを用いたセンサレス制御法を提要する事により,従来より数倍の補償帯域を持つ補償装置を実現することが出来た。EDLCについては理論値通りの補償効果が得られる制御系の設計法について検討を行った。以上の結果を国際会議にて発表した。さらに,このシステムを用いたフライホイールと発電システム(現在はガスエンジン発電システム)との協調制御法について,制御パラメータを解析的に求める手法について検討し,系統シミュテータによってその補償効果の確認を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現状,燃料電池模擬装置の構築,フライホイールによる電力補償性能向上,協調制御法による電力貯蔵システムの容量削減効果については検討を行い,一定の成果を上げている。しかしながら,燃料電池模擬装置の模擬できる帯域がまだ1kHz迄と低い。この帯域は,系統の解析には問題の無いレベルではあるが,スイッチングを用いた電力変換器を接続するには10kHz以上の帯域が必要であるため,未だ不十分と考える。また,協調制御システムについても実機検証はまだ出来ていないため,今年度はシミュレーションによる解析とともに実機試験を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
電力補償装置としてフライホイールは帯域の限界が有り,高い周波数成分までの補償は困難であると考えられる。したがって今後は,電力貯蔵システムとして電気二重層キャパシタを用いたシステムを併用することを計画している。また,燃料電池模擬装置についてもより高い周波数帯域まで模擬可能なシステムを実現する為の方策について検討し,模擬配電システムにおける性能を評価する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の物品購入,旅費等は概ね計画通りであったが,若干出張旅費が当初予定より多かったため,物品購入で調整したため,若干の繰り越しが生じた。次年度は繰り越し分も含め,適切に予算を消化する予定でである。
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