本研究は自然エネルギー利用発電システムと燃料電池発電システムを発電装置とし,フライホイール電力平準化装置を組み合わせた複合型マイクログリッドシステムを配電系統に連系し,使用する際配電系統に影響を与えないよう各装置を協調させスマートグリッドとして動作させることにより,脈動電力の安定化を行う手法を提案するものである。 本年度は燃料電池模擬装置の構築に関しては,昨年度周波数特性から試行錯誤的に求めていた等価回路のパラメータについて,時間応答波形及び物理的背景を元にシステマティックにパラメータ同定を行う方法を提案し,産業応用部門大会および国際会議にてその成果発表を行った。 また,バッテリの充電状態(SOC)を考慮した等価回路およびマイクロガスタービン,風力発電装置を模擬した模擬マイクログリッドをシミュレータにより構築し,系統から切り離された状態での単独運転時において,電力脈動に対する適切な補償容量をシミュレータによる計算により算出する事が出来た。 本研究成果より,数10W出力の小型燃料電池を基本とした燃料電池模擬装置の等価回路パラメータの物理的意味を明らかにすることで,数kW以上出力の大型の燃料電池に適用の可能性を見いだすことが出来た。 また,本提案手法によって構成されたスマートグリッドシステムが系統に連系されたときの,系統に与える影響が現在のシステムに比べ少ないことをシミュレーションにより明らかにした。
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