研究課題/領域番号 |
23560328
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松尾 哲司 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20238976)
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研究分担者 |
美舩 健 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20362460)
開道 力 北九州工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (20373558)
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キーワード | 電気機器工学 / 磁性 / 計算材料物理学 / 電磁鋼板 / 有限要素磁界解析 |
研究概要 |
1.磁区構造モデルを用いた鉄芯材料物理モデルの開発 まず,方向性および無方向性電磁鋼板の回転磁化特性を磁区構造モデルにより表現し,測定結果と定性的な一致を得た。次に,単純化磁区構造モデルを基本セルとしてその集合により鉄芯のマクロ磁気特性を表現する集合磁区モデルを開発した。最終年度では,集合磁区モデルの高速計算手法を開発し,方向性電磁鋼板の磁化過程解析を行い,圧延方向については保磁力の小さい角形ヒステリシス特性を持つこと,直角方向については磁区構造の遷移により段階的な磁化特性を持つことなど,磁気特性の再現に成功した。 2.磁化過程のモデル化手法の検討 まず,磁化特性が,低磁束密度ではレーリーループの2定数で表現でき,中磁束密度では結晶粒界のピン止めと磁壁移動で表現できることを示した。他方,応力依存性は磁壁移動と磁化回転を考慮すれば磁歪として説明でき,歪依存性は結晶粒界の残留応力で説明できることを示した。次に,方向性電磁鋼板の直角方向特性が,180度および90度磁壁移動と表面張力により説明できることを示した。最終年度では,直流重畳マイナーループを測定し,結晶粒径や磁化過程の遷移の影響がレイリーループの2定数に反映されることを示した。他方,鋼板内部の磁気特性分布を等価回路表現により定量的に明らかにした。 3.有限要素磁界解析手法の検討 異常渦電流損を考慮した鋼板厚み方向1次元有限要素モデルを検討した。磁化特性およびアノマリーファクタの厚み方向の非一様性が磁気特性に及ぼす影響を明らかにした。また,アノマリーファクタの動的モデルを提案し,交流磁気特性の高精度な表現を可能にした。次に,プレイモデルによるベクトルヒステリシス関数の微分計算法を開発し,有限要素磁界解析コードに実装した。最終年度には,開発コードにより3相インダクタに生じる回転ベクトルヒステリシス挙動の解析に成功した。
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