研究課題/領域番号 |
23560330
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
辻 峰男 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80145218)
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研究分担者 |
樋口 剛 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50156577)
阿部 貴志 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30222649)
浜崎 真一 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80363472)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | DCリンク電流 / 誘導電動機 / 同期電動機 / センサレスベクトル制御 |
研究概要 |
交流電動機の回転位置を検出するエンコーダを省いたセンサレスベクトル制御が国内外で注目を集め活発に研究されている。本研究は,これまで申請者らが考案してきた交流電動機(誘導電動機及び同期電動機)のセンサレスベクトル制御を発展させ,更なるハードウェアの簡単化を目的として,現在3相電流検出のために使用されている電流センサを省き,DCリンク側の1個の電流センサだけでセンサレスベクトル制御を実現する。DCリンクの側の電流センサは現状のシステムでも保護用として使用されており,これが実現するとハードウェアが大幅に簡単化されることになり,装置の小型軽量化・対環境性向上が図れる。 平成23年度は,センサで検出するDCリンク電流と制御演算で得られるインバータPWM信号(電圧指令)により3相電流を演算する方法を考案した。次にDCリンク電流から相電流の演算だけを行う場合についてPWM動作を詳細に考慮した誘導電動機のシミュレーションプログラムを開発した。これを用いて計算した結果,IGBTのターンオン時間と短絡防止に挿入するデッドタイムの問題で相を誤る問題が生じ,相電流にスパイクが発生した。そこでスイッチングモードを正確に推定する方法を考案し,この問題を解決した。さらに誘導電動機の速度センサレスベクトル制御にDCリンク電流による相電流の提案方式を適用し,定常及び過渡特性を検討した結果,その有効性が確認できた。同期電動機に関しては,速度センサレスベクトル制御法を考案し,特性を検証中である。またIPMSM,負荷の直流発電機,トルクセンサを購入た。今後実験装置を組み立てる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
センサで検出するDCリンク電流と制御演算で得られるインバータPWM信号(電圧指令)により3相電流を演算する方法を考案したこと,PWM動作を詳細に考慮した誘導電動機のシミュレーションプログラムを開発したこと,スイッチングモードを正確に推定する方法とDCリンク電流センサからの情報が不十分な場合の3相電流の補間法を開発したこと,誘導電動機の速度センサレスベクトル制御にDCリンク電流による相電流の提案方式を適用しその有効性が確認できたこと,同期電動機の速度センサレスベクトル制御を考案したことなどの成果が得られ,当初の目的を期間内に達成できると考えられることからおおむね順調に推移していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
DCリンク電流のみを利用した誘導電動機の速度センサレスベクトル制御のシミュレーション解析で良好な特性が確認できたので,今後は実験により検証を行う予定である。また,DCリンク電流のみを利用した同期電動機の速度センサレスベクトル制御に関しては,今後実験装置を組み立てて,センサ付のベクトル制御を行ってハードウェアを完成させたい。また,シミュレーション解析により誘導電動機の場合に考案している3相電流推定法が有効か検証したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は,平成23年度に購入した同期電動機,負荷の直流発電機,トルクセンサを取り付ける鉄製の台座を特注したい。また,研究成果を国際会議International Symposium on Power Electronics, Electrical Drives, Automation and Motion (SPEEDAM2012)に発表予定であり,このための出張旅費にも充てたい。他は実験で必要となる消耗品などに使用したい。
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