研究課題/領域番号 |
23560330
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
辻 峰男 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80145218)
|
研究分担者 |
樋口 剛 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50156577)
阿部 貴志 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30222649)
浜崎 真一 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80363472)
|
キーワード | DCリンク電流 / 誘導電動機 / 同期電動機 / センサレスベクトル制御 |
研究概要 |
交流電動機の回転位置を検出するエンコーダを省いたセンサレスベクトル制御が国内外で注目を集め活発に研究されている。本研究は,これまで申請者らが研究してきた交流電動機(誘導電動機及び同期電動機)のセンサレスベクトル制御を発展させ,更なるハードウェアの簡単化を目的として,現在3相電流検出のために使用されている電流センサを省き,DCリンク側の1個の電流センサだけでセンサレスベクトル制御を実現する。DCリンクの側の電流センサは現状のシステムでも保護用として使用されており,これが実現するとハードウェアが大幅に簡単化されることになり,装置の小型軽量化・対環境性向上が図れる。 平成24年度は,誘導電動機の速度センサレスベクトル制御にDCリンク電流による相電流の提案方式を適用し,定常及び過渡特性を検討した結果,その有効性が確認できたので,その研究成果を国際会議International Symposium on Power Electronics, Electrical Drives, Automation and Motion (SPEEDAM2012)で発表した。また,平成23年度に購入した永久磁石同期電動機(IPMSM),負荷の直流発電機,トルクセンサを取り付ける鉄製の台座を特注し,PWMインバータ及びDSPボードを取り付けて,IPMSMのシステムを組み立てた。さらに,IPSMの定数の測定を行ってベクトル制御の実験用プログラムを開発し,実験結果がシミュレーション解析と良く一致することを確認した。速度センサレス方式に関しては,d軸PI電流制御の出力電圧を利用した方式を考案した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでにセンサで検出するDCリンク電流と制御演算で得られるインバータPWM信号により3相電流を演算する方法を考案したこと,PWM動作を詳細に考慮した誘導電動機および同期電動機のシミュレーションプログラムを開発したこと,スイッチングモードを正確に推定する方法によりDCリンク電流センサからの情報が不十分な場合の3相電流の補間法を開発したこと,誘導電動機の速度センサレスベクトル制御にDCリンク電流による相電流の提案方式を適用しその有効性が確認できたこと,同期電動機の速度センサレスベクトル制御を考案したこと,同期電動機の実験装置を完成しベクトル制御が行えたことなどの成果が得られ,当初の目的を期間内に達成できると考えられることからおおむね順調に推移していると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
DCリンク電流のみを利用した誘導電動機の速度センサレスベクトル制御については,定常のみならず過渡状態まで含めた種々の運転状態で安定した動作が行えるかPWM動作を考慮したシミュレーション解析と実験により検証を行う予定である。また,DCリンク電流のみを利用した同期電動機の速度センサレスベクトル制御に関しても,種々の運転状態で安定した動作が行えるかPWM動作を考慮したシミュレーション解析と実験により検証を行う予定である。さらに得られた成果を学会に投稿するとともに,3年間の研究成果として報告書をまとめたい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
今年度のは,実験において必要となる負荷抵抗,測定器等と研究成果発表と情報収集のための出張旅費として使用したい。
|