研究課題/領域番号 |
23560333
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
稲葉 博美 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (10512733)
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キーワード | 並列多重電力変換器 / 横流抑制 / インバータ / 結合リアクトル |
研究概要 |
省エネルギのために、多くの分野で様々な出力仕様の電力変換システムの導入が進んでいる。本研究では、このような多種類の出力仕様の電力変換システムへの要求に対して、少ない種類の単位変換器の並列組み合わせによりシステムを構築できる主回路・制御方式を提案し、次の2点を研究項目とした。(1)異なる仕様の二台の単位変換器を組み合わせることによって生じるシステム効率の低下成分(基本波帯、高調波帯の横流)を抑制する制御法。(2)三台以上の奇数台による組み合わせにシステムを拡張する制御法。これらを実現できれば、多様な電力変換装置に対して、開発期間の短縮、標準化、大容量化などの波及効果が得られるとして研究推進した。 H24年度は、上記(2)について購入した解析パッケージソフトを用いて解析ベースで制御方式の検討を効率的に進めた。検討項目は異なる電流分担仕様の3台の単位変換器の組み合わせに伴い発生する横流(基本波成分)抑制に関するものである。 ・H23年度は結合リアクトルをトランスで模擬していたが、相互インダクタンスで模擬し、解析精度を向上させた。 ・2台の同出力の電力変換器構成において、提案の和差制御と、従来の個別制御の比較を行い、提案方式が優れていることを明らかにした。 ・3台の電力変換器による提案の和差制御の制御方式(下層は相互の和差制御、上層は下層への和差制御反映なし方式とあり方式)の比較を行い、前者が優れていることを解析ベースで確認した。 解析と平行して、ミニ装置による実機評価に向けて、主回路ハードウェア(結合リアクトル,インバータ)と制御用マイコンボードを試作した。また,マイコンに搭載する制御ソフトウェアの作成・デバッグを現在行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3台の出力容量の異なる電力変換器の並列多重システムにおける横流抑制制御について、結合リアクトルを正確に模擬するとともに、横流抑制制御の性能評価を解析ベースで行ない、その見通しを得ることが出来た。 H25年度分実施予定である、ミニ装置による実機試験に向け、主回路ハードウェア、マイコン制御用ソフトウェアの作製に注力しており、ほぼ当初計画に沿って検討は進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方法に計画変更はない。 解析パッケージソフトを用いて得た知見をもとに、有効な制御則をミニ装置に搭載して実機評価を進める予定である。また、設計のための各部の最適値探査則を明確にすることも同時に進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
横流測定用に電流センサを増備する。タップ付きの結合リアクトルを試作したが、必要に応じて設定LR値を変化させた結合リアクトルを増備する。 試作したマイコン制御ボードはCPUのI/Oの制限から、1個のマイコンで2台のインバータまでしか制御出来ない。3台のインバータを制御するには、試作マイコンコンボードを2台使用する必要があるが、2つのCPU間の搬送波が非同期となることからPWMベースの位相差が横流発生に影響を与える可能性がある。この点が評価の障害になる可能性もあり、1個のマイコンの出力をFPGAにより増やし、3台のインバータが制御可能なマイコンボード新たに試作する可能性もある。
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