太陽電池セル当たりの発電量を最大にする従来の太陽光発電モジュールに替えて、設置面積当たりの発電量を最大にする、すなわち太陽エネルギーを最大限に利用できるモジュール構成として3次元太陽光発電モジュールが期待されている。本研究では、フィボナッチ数列を基にした植物の葉序に倣った、樹木状に太陽電池セルを配置する3次元太陽光発電モジュール(Fibonacci Number Photovoltaic Module: FPM)を提案し、その発電特性をシミュレーションと実証実験により明らかにした。 最終年度は、前年度に続けてセル形状・セルサイズや設置間隔、葉序と発電量との関係を定量的に把握すると共に、快晴の日と曇りの日など日射条件が異なる場合の発電特性の取得や、タンデム型モジュール開発に向けた基礎データの収集、0.5V程度の低電圧入力DC-DCコンバータの基本回路の決定を行った。 また、研究期間全体では以下の結果を得た。(1) FPMを構成する太陽電池セル同士や支柱の影を考慮した直達光による発電量算出シミュレーション手法を構築した。(2) 構築したシミュレーション手法により、セル形状・セルサイズや設置間隔、葉序と発電特性との関係を明らかにした。(3)シミュレーション結果を基に単結晶Si太陽電池を用いた1/3葉序および3/8葉序の疑似FPMを製作し、そのフィールド試験から2段構成では従来の平面パネルに比較して1.5倍の発電量が得られ、シミュレーション結果とほぼ一致することを明らかにした。(4)FPM 各セルのサイズを同一にしたとき設置面積当たりの発電量が最大になる。(5)単結晶Si太陽電池による疑似FPMでは、曇って日射強度が小さい時にはシミュレーションに比較して発電量が低下する。 今後はこの研究成果を基に複数のFPMによる発電樹林の実現に向けて、その構成法、特性、有効性を明らかにする。
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