研究課題/領域番号 |
23560342
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
森 啓之 明治大学, 理工学部, 教授 (70174381)
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キーワード | 多目的最適化 / メタヒューリスティクス / 階層的最適化 / パレート解 / 不確定性 / ネットワーク |
研究概要 |
本研究では、複雑な多目的最適化問題を解くために、階層的最適化に基づく多目的最適化について研究した。多目的最適化手法として、階層的最適化における相互作用予測原理について検討した。相互作用予測原理では、複雑なシステムをサブシステムに分割し、そのサブシステムの上位に統合サブシステムを置き、サブシステムを協調する際に、サブシステム間の相合作用変数の予測値を使用する手法である。この予測値を逐次的に更新することにより、各サブシステムの最適化を独立に行うことができる。スマートグリッドの普及につれて大規模複雑化するネットワークの問題を解く手法として,問題を部分問題に分割し,各々を解くことにより解を得る階層的最適化手法が有効である。この手法を効果的に用いるためには,適切な位置で問題を分割する必要がある。しかし,この問題は組合せ最適化問題であるため,多くの計算時間を要する難点があり,これを改善するためにメタヒューリスティクスを用いた手法が提案された。しかし,従来法は単目的化した最適化法であり,限られた解しか得ることができない。即ち、重み付き総和法などを用いて、ベクトルの目的関数をスカラーの目的関数問題を変換して解を求める手法が使用されてきた。しかし、その際の重みは経験的に決められてきたが、解析的な視点から十分と言える手法ではなかった。そこで,本研究では複数の目的を最適化する多目的最適化手法である多目的メタヒューリスティクスについて検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、階層的最適化手法を用いた多目的最適化手法として、SPEA2に基づく手法のアルゴリズムについて研究した。SPEA2とは、GA(遺伝的アルゴリズム)を基にした多目的メタヒューリスティクスの手法であるが、他の多目的メタヒューリスティクス手法よりも性能が良いことが知られている。基本プログラムを作成し、複数の目的関数を持つ多目的最適化問題でアルゴリズムを例題系統でテストした。また、開発した手法のパレート解の広がりと解の精度を確認するために、解の指標についても研究した。さらに、最適化探索エンジンであるSPEA2を改良するために、Memetic Algorithmについて検討した。Memetic Algorithmとは、GAの探索性能を向上させるため、GAとローカルサーチを組み合わせた手法である。本研究では、SPEA2に階層的最適化手法とMemetic Algorithmを考慮した手法のアルゴリズムについて検討した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策として、Memetic Algorithmにおけるローカルサーチとしてどのような手法が良いか検討し、送電系統拡張計画の多目的最適化問題に適用し、その問題点を見つける。また、階層的最適化手法のもう1つの手法である相互作用平衡原理に基づく手法について研究し、送電系統拡張計画におけるパレート解集合評価に対して相互作用予測原理と相互作用平衡原理の類似点と相違点を計算機シミュレーションを通して理解する。さらに、初期値の選択も重要な問題であるので、その効率的な初期値選択ほうについて検討する。不確定性を考慮したネットワークについて研究を深めるために、ノード間の相関を考慮したモンテカルロシミュレーションについて研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
スマートグリッド環境の理解が重要なポイントであるため、国内学会や国際会議に参加し、積極的に情報収集を行う。また、パレート解集合の解精度と効率的な計算アルゴリズムを改善するための文献調査およびプログラム開発に謝金を使用する。
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