本研究の目標はエネルギー供給源としての発電機効率を向上することで,エネルギー問題を解決することにある.平成25年度は平成24年度に再構築した実験装置で無負荷および負荷状態における詳細な実験を実施した.3次元有限要素解析では固定子鉄心,ギャップ,永久磁石,界磁巻線の周辺における磁束密度ベクトルの検討を行った.また,サーモカメラを利用して試作機表面温度を計測し,面的な温度分布を明らかにした. 本研究期間中では軸方向を加えた3次元有限要素モデルを巻線界磁・永久磁石界磁・巻線界磁の回転子を持つ3次元解析モデルを構築した.3次元解析モデルは現在使用して半径方向解析モデルデータを活用して構築し,計算時間の短縮化を図るため軸方向で1/2にした.この3次元解析モデルにより軸方向の磁束密度や損失が発生する部分の解析が可能とした.3次元解析では永久磁石界磁と巻線界磁による回転子鉄心の磁束密度を検討することで損失解明に繋がることを示した. 解析結果では各磁路の磁束密度,電機子巻線の鎖交磁束,UVW相の電圧・電流,入力トルク,固定子・回転子のコアロス,永久磁石の渦電流損などを計算した.機械損を除いた理論的な効率を計算したところ96.7%と高い値となった.実際の小容量な発電機では機械損や漂遊負荷損が出力に対して10%程度あり,実質的な効率は低下する.本試作機では再構築した実験装置で確認したところ,励磁入力を考慮しない実測効率で87%であった.数百ワットの発電機としては充分な値を有していると考えている.
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