研究課題/領域番号 |
23560357
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
尾崎 俊二 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80302454)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 多元化合物半導体結晶成長 |
研究概要 |
平成23年度の研究計画に従い、多元化合物半導体Cu2ZnSnSe4バルク結晶を垂直ブリッジマン法により育成した。まずは、純度99.9999%のCu、Zn、Sn、Seをモル比2:1:1:4の割合で秤量し、アセトンを熱分解させるこによってカーボンコートを施した石英管に挿入した。石英管はディフュージョンポンプを有する高真空装置にて、10-6 Torrにて真空封入し、アンプルを作製した。作製したアンプルは、温度勾配を有する電気炉内を~1 cm/dayの速度で降下させることで、結晶を育成した。この方法により直径~5 mm、長さ~10 mm程度のインゴットが得られたが、このインゴットの一部を切り出し、光学測定用に厚さ0.05 mm程度に両面鏡面研磨したが、近赤外光はまったく透過しなかった。これは、結晶の一部に非晶質成分を含んでいるために、バンドギャップエネルギーの低下が起きていることが原因と考え、試料を窒素雰囲気中アニール処理し、再結晶化を行った。こうして作製した結晶の一部を粉末にしてX線回折測定を行った。その結果、500~550℃で3時間アニール処理を行うと、ケステライト構造を有するCu2ZnSnSe4結晶を得られることがわかった。また、この場合、Cu2Se, ZnSeなど、他の材料の混在は確認されなかった。また、450℃以下の温度では、再結晶化が不十分であり、一方600℃以上の温度では、他の組成比を有する結晶となってしまうことがわかった。さらに、500℃でアニールした試料を使用して、光吸収測定を行った。その結果、Cu2ZnSnSe4半導体は、直接遷移型半導体であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画において、平成23年度ではCu2ZnSnSe4半導体バルク結晶の育成を主に行うこととしていたが、その目的は達成されている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度においては、得られた結晶を使用して光学測定を主に行う。具体的には、光吸収端(禁制帯幅)、光吸収係数、複素誘電関数を詳しく調べる。また、フォトルミネッセンス測定を行い、光学特性を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度では研究費を当初の予定通り執行した結果端数が生じたが、その端数については平成24年度予算とあわせて使用する予定である。平成24年度においては光学測定を主に行うが、その際に必要となる励起光源としてレーザの購入を予定している。また、研究成果を発表するために、研究費の一部を旅費として使用する予定である。
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