研究課題/領域番号 |
23560368
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
白土 竜一 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10216195)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 色素増感太陽電池 / カーボン対極 / 集電電極 / 量産化技術 / 高効率化技術 |
研究概要 |
本研究は、太陽電池の国際競争力を回復するために、製造コストを50円/Wをめざした色素増感太陽電池開発を行うものである。そのため、作用極では透明導電膜を使わないセル構造の提案と高効率化を目指したタンデム化、対極に用いられてきた白金をカーボンに転換、さらに、対極基板を、透明導電膜付きガラスをSUSなどの金属基板に変更し、コストダウンすることを検討した。本年度は、対極のカーボン化とセルの大型化のために必要な集電電極の作製技術について検討をおこなった。透明導電膜を使わないセル構造は、通常タイプの効率を上回ることが現状ではできていない。また、SUS基板の作製コスト、貼り合わせなどの問題も浮上したため、量産技術化には難しいことがわかった。対極の改良は、カーボンブラックと活性炭の混合割合を検討して、作用極の反応に見合うだけの還元反応を進めることができる対極材料の選定と開発についてである。活性炭のみを用いたカーボン対極を用いることで、5mm角セルで光電変換効率8.87[%]のセル作製に成功したが、白金対極を用いた場合と比較すると、短絡電流が明らかに劣っていた。そこで、活性炭にカーボンブラックを荷重配分比12[wt%]を添加することにより、活性炭間の結合性や基板との密着性能の向上がはかれた。その結果、短絡電流密度、F.F.の改善に成功し、光電変換効率9.90[%]に達し、白金対極とほぼ同等のセル性能を得ることが出来た。集電配線の技術開発に対しては、50mm角型セルを、集電グリッド配線を持たないセルを製作した場合、フィルファクターが0.58となり、変換効率が6.3%と5mm角セルに比べて、著しく低下する結果が得られた。このセルに、集電のため、銀のグリッド配線を8.4mmの電池部分に対して、2mm幅で4本セル内に配置した。その場合、フィルファクターが0.69に改善し変換効率が7.2%となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
通常の大型セルの作製に対しては、カーボン対極とグリッド配線の技術開発がほぼ完了したので、大型化に対する目処がたった。色素増感太陽電池の通常の作用電極作製技術に対して、人的・環境的要因がもたらすセル特性への影響を検証することにより、高い効率をコンスタントに製作できる技術ができたため。
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今後の研究の推進方策 |
透明導電膜を使用しないセル構造の研究から、作用電極、対極とその間の電解液がどのような状態であれば、ベストの動作が得られるかについての知見が得られた。これを通常のセル構造の改良に応用すれば、高効率化が期待できる。作用極に対する研究を中心に展開する。
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次年度の研究費の使用計画 |
設備はあり、次年度研究に必要な薬品や消耗品などの購入に対して予算を使用する。
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