研究課題/領域番号 |
23560369
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
郭 其新 佐賀大学, シンクロトロン光応用研究センター, 教授 (60243995)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 化合物 / 半導体 / ヘテロ成長 / 光学特性 |
研究概要 |
ZnTeは、閃亜鉛鉱構造を有しており、直接遷移型のバンド構造を持ち、バンドギャップが2.26eVであり、波長に換算すると約550nmと純緑色に相当すること、融点が1295℃と比較的低いためGaPやInGaNよりもはるかに容易にバルク結晶を作製できることから、従来よりも優れた高輝度純緑色発光ダイオード用の材料として期待されている。さらに、キャリアと光を閉じ込めることが可能なダブルヘテロ構造を形成できる可能性も指摘されており、現在実用化されていない緑色レーザーダイオードの有力な材料として期待できる。本研究では、n型ZnO/p型ZnTeのヘテロエピタキシャル成長特性の解明を目的としている。 平成23年度は、GaAs(111)基板上にレーザー分子線エピタキシャル法を用いて、ZnOの薄膜成長を行い、作製された膜について、X線回折、X線ロッキングカーブ、ラマン分光法、フォトルミネッセンス法により評価した結果、ZnOのエピタキシャル膜が得られていることが明らかとなった。また、得られたZnO膜の結晶性が成長温度、酸素圧力に強く依存していることが分かった。また、有機金属気相成長法を用いて、GaAs(111)基板上にZnTeのエピタキシャル成長に成功し、成長特性及び成長膜の結晶性、光学特性等を明らかにした。これらの研究成果は、国際学術論文誌Thin Solid Films, Journal of Crystal Growthに公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では、ガリウムを添加したZnOをターゲットを用いて、成膜実験を行い、膜の電子移動度、電子濃度とガリウム添加量との関係を明らかにする予定であったが、ターゲット物品の入荷が遅れたことにより、実験結果の解析等が平成24年度で行うことになっている。それ以外の研究に関しては、計画通り、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
有機金属気相成長法を用いて作製されたZnTe膜上に、レーザー分子線エピタキシャル法を用いて、n型ZnOの薄膜を作製し、成長された膜の発光スペクトル及びドーピング状態について調べる。また、ZnO/ZnTeヘテロ接合のバンドオフセットをシンクロトロン光光電子分光法を用いて測定し、ヘテロ接合の作製技術を確定する。さらに、ZnOのナノ構造の作製も試み、ナノ構造のサイズ効果による光学特性への影響を調べ、発光スペクトルの特性を明らかにする。得られた研究成果は、国際会議で発表し、国際的に評価が高い学術論文誌に公表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
薄膜を作製する際、KrFエキシマレーザー用ガス、高純度酸素ガス、洗浄用薬品、ターゲット及びガスケット等の真空部品が必要とされるため、これらを消耗品として購入する。また、研究打合せ、研究成果発表のため、旅費及び論文投稿料として使用する。
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