研究概要 |
ZnTeは、閃亜鉛鉱構造を有しており、直接遷移型のバンド構造を持ち、バンドギャップが2.26eVであり、波長に換算すると約550nmと純緑色に相当すること、融点が1295℃と比較的低いためGaPやInGaNよりもはるかに容易にバルク結晶を作製できることから、従来よりも優れた高輝度純緑色発光ダイオード用の材料として期待されている。さらに、キャリアと光を閉じ込めることが可能なダブルヘテロ構造を形成できる可能性も指摘されており、現在実用化されていない緑色レーザーダイオードの有力な材料として期待できる。本研究では、n型ZnO/p型ZnTeのヘテロエピタキシャル成長特性の解明を目的としていた。 平成25年度は、シンクロトロン光によるX線トポグラフィを用いたZnTe/ZnOサンプルのZnO基板(0001)面からの回折像観察を通して基板側の応力について評価できることを判明した。研究期間全体を通じて、n型ZnO基板上に有機金属気相成長法を用いて、ZnTeの薄膜成長を行い、X線回折法、ラマン分光法、フォトルミネッセンス法等により評価した結果、p型のZnTe(111)のエピタキシャル膜が得られていることが明らかとなった。また、ヘテロ接合ダイオードの電圧電流特性を測定し、ダイオードの整流特性が観測された。これらの研究成果は、Thin Solid Films, Japanese Journal of Applied Physics, Applied Physics Letters等の国際学術論文誌に公表した。
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