AD法の装置を新規導入し、これを用いて多孔質ステンレス基板上に直接酸化物薄膜を形成手法について検討を行った。また、これと並行してPdメッキした多孔質ステンレス基板上に、スパッタ法やPLD法にを用いて電解質の形成を行った。 AD法では、原料粉末の形状を最適化することで多孔質基板上に直接緻密な酸化物薄膜が堆積可能なことを見出したが、電解質薄膜についてはガスリークが確認されさらなる最適化が必要であった。一方、スパッタ法では、ゾルゲル法では困難であった500℃での良好な結晶性を有するBCYO薄膜の形成に成功した。また、PLD法を用いて電解質薄膜及び空気極を形成してSOFCセルを試作し発電特性を検証したところ、400℃で約0.8mW/cm2、450℃で約1.5mW/cm2の発電を確認した。この発電特性は従来報告されている発電特性に比べ小さいが、今後電解質の伝導度の改善及び空気極構造の最適化を行うことにより、中温域で従来と同等程度の良好な発電特性を有するSOFCを実現できるものと期待される。
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