研究課題/領域番号 |
23560377
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研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
羽渕 仁恵 豊田工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90270264)
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キーワード | シリコンクラスレート / 熱電変換材料 |
研究概要 |
本研究は、半導体である金属フリーシリコン(Si)クラスレート化合物の合成プロセスを確立させ、その化合物の物性を測定し、熱電 変換材料としての応用の可能性を見出すことを目的とする。 本研究では、クリプトン(Kr)等の希ガスを放電させSiをスパッタすることで希ガスSi化合物を合成し、それをアニール処理することでクラスレート化を目指す。従来、半導体Siクラス レートの合成 は金属内包 Si クラスレート化合物をアニールして金属を取り除く方法がとられてい たが、金属を完全に除去できなかった。しかし 本手法では金属を用いないため、純度の高い完全に金属フリーのSiクラスレート化合物が薄膜として合成でき、その物性を評価できることが特長である。 平成24年度は、新しく構築したスパッタ装置で、アモルファスSi(a-Si)薄膜を合成した。使用したガスはArである。酸素の含有量はSiに対し2at.%未満となり、旧装置で合成したときよりも大幅に改善した。Ar/Siは最高で12at.%であり、旧装置よりも5, 6%減少した。しかし、アモルファスのSiネットワークの中にArが潜り込んだ不純物が少ない理想的な希ガスSi化合物となっていると考えられる。 この薄膜を350℃、Arガス中100気圧、4時間アニールした。このときArの減少は10%程度であった。XRDではクラスレートに起因する回折ピークは観測されなかった。クラスレート化するための熱エネルギーまたは時間が足りないためと考えられる。今後は、さまざまな条件でアニールを行い、クラスレート化の条件を見いだす予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
クライオ装置の構築が遅れているものの、スパッタリングによる希ガスSi化合物の合成は、酸素の低減が実現でき順調である。クラスレート化の実験は、XRDではまだ確認できておらず重点的に研究する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
希ガス Si化合物の合成法としてスパッタ法が有効であるのでこれを中心に合成を行う。イオン打ち込みによる合成法も検討したが、今年度は実施できなかった。平成25年度は、XeのSiへの打ち込みで希ガスSi化合物を合成を行う計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
イオン打ち込みの委託費、ガスの購入費用、実験消耗品、学会への調査研究費に使用する予定である。
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