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2011 年度 実施状況報告書

3次元ベクトル有限要素ビーム伝搬法による光回路のトポロジー最適設計に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23560382
研究機関室蘭工業大学

研究代表者

辻 寧英  室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70285518)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード光導波路 / 最適設計 / 有限要素法 / ビーム伝搬法
研究概要

光通信の高速大容量化および柔軟な光ネットワークの構築に不可欠な光デバイスの高性能化を目指して、光導波路デバイスの最適設計法についての検討を行った。これまでの光導波路の設計は、既存のデバイス構造の改良であるなど過去の経験によるところが大きいが、本研究では要求されるデバイス特性を実現する光導波路構造を自動的に生成させることを目指している。 まず、方向性結合型光導波路デバイスを考え、伝搬方向に設定したサンプリング点を滑らかな曲線で結ぶことにより導波路構造を表現し、波長分離デバイスの最適設計について検討を行った。最初に最適設計法に遺伝的アルゴリズム、数値解析法にモード結合理論を用いた初期設計を行い、ビーム伝搬法を用いた詳細設計を行うことで効率的に光導波路デバイスの設計ができることを確認した。 次に、より自由度の高い設計を目指し、最適化領域を格子状に離散化し、各格子点での屈折率を設定することで、曲り導波路、分岐導波路、波長分離デバイス等の設計についての検討を行った。最適化には波面整合法を用い、2次元のみならず3次元の光導波路デバイスの最適設計を行っている。格子点ごとに屈折率を設定するとモザイク状の構造が現れやすいが、初期構造の工夫と反復計算の過程で構造に対するフィルタを用いることでこうした問題を回避している。 各格子点での屈折率を設定する方法では構造が複雑化しやすいということが問題になるため、トポロジー最適化における関数展開法による屈折率分布表現についての検討を行った。この方法では2次元、3次元の滑らかな関数の0等値線として構造を表現するため、用いる関数系の選び方により構造を制御しやすく、展開項数の選び方で構造の複雑さも調整しやすい。実際に初期構造と反復計算の手順の工夫も含めて、目的の特性を持ったデバイスを比較的単純な構造で実現できることを確かめた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画のうち、最適化領域内の屈折率分布の表現法について種々の検討を行い知見を得た。特に関数展開表現において、関数系の設定により対称性も含めて最適化構造をある程度制御できることも確かめた。最適化に必要とされる感度計算と数値解析そのものの効率化に関しては、実際に比較的小規模な3次元光デバイスを設計できることを示している。ただし、より大規模な最適設計においてはさらなる計算の効率化と、部分領域ごとに最適化を行うなどの、最適化手順そのものの見直しも必要であり、今後の課題である。

今後の研究の推進方策

これまでに得られた知見を基に、光導波路デバイスのより柔軟で効率的な最適設計法についての検討を行っていく。特に、自動最適設計法においては得られる構造が複雑なものとなりやすいが、それを避けるために、構造の単純さといったことを最適化の要素として取り入れるための検討を行う。また、最適設計においては局所的な最適解に陥る問題がしばしば生じるため、最適化の初期条件の選び方についてもさらに検討を加える予定である。また、これらの結果を基に、光通信システムで必要とされる光デバイスの設計を行っていく予定である。

次年度の研究費の使用計画

出張旅費を、本研究で得られた成果を学会において報告するため、および調査研究のために計上している、また、物品費を計算資源確保のための計算機の購入とデータ整理のための消耗物品の購入のために計上している。今年度小額の残額が生じたが、次年度に必要とされる消耗品として使う予定である。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (10件)

  • [雑誌論文] Finite-element time-domain beam propagation method with perfectly matched layer for electron waveguide simulations2011

    • 著者名/発表者名
      H. Gotoh, M. Koshiba, and Y. Tsuji
    • 雑誌名

      IEICE Electronics Express

      巻: Vol. 8, No. 16 ページ: 1361-1366

    • DOI

      10.1587/elex.8.1361

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Design optimization of H-plane waveguide component by level set method2011

    • 著者名/発表者名
      K. Hirayama, Y. Tsuji, S. Yamasaki, and S. Nishiwaki
    • 雑誌名

      IEICE Transactions on Electronic

      巻: E94-C ページ: 874-881

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 重水中テーパーファイバーからのスーパーコ ンティニウム光パルスのスペクトルと位相の数値解析:テーパーウェスト長による影響2011

    • 著者名/発表者名
      曽根宏靖,原田康浩,今井正明,辻寧英,中村真毅
    • 雑誌名

      光学

      巻: 40 ページ: 439-447

    • 査読あり
  • [学会発表] 関数展開法に基づくトポロジー最適化による導波モード分散特性 の最適化に関する検討2012

    • 著者名/発表者名
      後藤裕之,辻 寧英,平山浩一
    • 学会等名
      電子情報通信学会総合大会
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      2012年3月23日
  • [学会発表] 光回路デバイス最適設計のための関数展開 法に基づくトポロジー最適化に関する検討2012

    • 著者名/発表者名
      辻 寧英,木島涼輔,佐藤慎悟,安井 崇,平山浩一
    • 学会等名
      電子情報通信学会総合大会
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      2012年3月22日
  • [学会発表] レベルセット法による導体形状最適設計の検討2011

    • 著者名/発表者名
      平山浩一,仲祐輔,佐藤慎悟,辻寧英,山崎慎太郎,西脇眞二
    • 学会等名
      電子情報通信学会ソサイエティ大会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2011年9月15日
  • [学会発表] 関数展開法に基づくトポロジー最適化による光導波路デバイスの最適設計に関する検討2011

    • 著者名/発表者名
      辻 寧英,木島涼輔,佐藤慎悟,平山浩一
    • 学会等名
      電子情報通信学会ソサイエティ大会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2011年9月15日
  • [学会発表] レベルセット法による導波管H 面T 分岐回路の導体形状最適設計の検討2011

    • 著者名/発表者名
      仲祐輔,佐藤慎悟,平山浩一,辻寧英,山崎慎太郎,西脇眞二
    • 学会等名
      電子情報通信学会技術研究報告
    • 発表場所
      北見
    • 年月日
      2011年7月22日
  • [学会発表] 多媒質からなる光回路および非相反光回路に対するトポ ロジー最適設計の検討2011

    • 著者名/発表者名
      藤本幸太,平山浩一,佐藤慎悟,辻 寧英
    • 学会等名
      電子情報通信学会技術研究報告
    • 発表場所
      北見
    • 年月日
      2011年7月22日
  • [学会発表] 結合係数が連続的に変化する方向性結合型光導波路デ バイスの最適設計の検討2011

    • 著者名/発表者名
      瀬田純己,辻寧英,平山浩一,佐藤慎悟
    • 学会等名
      電子情報通信学会技術研究報告
    • 発表場所
      北見
    • 年月日
      2011年7月22日
  • [学会発表] 3 次元光導波路デバイスのトポロジー最適設 計における初期条件の検討2011

    • 著者名/発表者名
      木島涼輔,藤本幸太,平山浩一,辻 寧英,佐藤慎悟
    • 学会等名
      電子情報通信学会技術研究報告
    • 発表場所
      北見
    • 年月日
      2011年7月21日
  • [学会発表] 波面整合法を利用した3 次元光導波路デバイ スの最適設計の検討2011

    • 著者名/発表者名
      清水省吾,瀬田純己,平山浩一,辻 寧英,佐藤慎悟
    • 学会等名
      電子情報通信学会技術研究報告
    • 発表場所
      北見
    • 年月日
      2011年7月21日
  • [学会発表] 単一偏波単一モード楕円格子コアフォトニックバンドギャップファイバの設計2011

    • 著者名/発表者名
      江口真史,辻寧英
    • 学会等名
      電子情報通信学会技術研究報告
    • 発表場所
      島根
    • 年月日
      2011年11月17日

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公開日: 2013-07-10  

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