研究課題
高速大容量光通信システムで用いられる高性能光デバイスの最適設計を目的として、数値解析に有限要素法および有限要素ビーム伝搬法を用いた光導波路デバイスの自動最適設計法についての検討を行った。まず、数値解析の性能向上の検討として、有限要素分割に用いる三角形要素としてより高次のエッジ・ノーダルハイブリッド要素である、不完全3次要素に基づくQT/CuN要素について検討を行い、精度を保ったまま大幅に要素数を減らせることを確認した。次に、最適設計に関する検討として、まず、設計領域の構造表現には関数展開法を用い、そこで用いられる関数系の検討と得られる構造の複雑化を避けるための構造平滑化フィルタの検討を行い、所望の特性を有する光デバイスの設計を可能とした。また、構造表現の方法として基本形状の組み合わせによる表現方法についての検討も行い、最適化問題に応じて構造表現方法を使い分けることが構造の複雑化を避ける上で効果的であることを確かめた。一方、最適解の探索の方法としては、まず随伴変数法による感度解析に基づく山登り探索により効率的な最適解の探索について検討し、特に強導波路の問題に対して困難であった大域的最適解の探索方法として、最適化の過程において弱導波路から強導波路へと連続的に移行する探索方法が効果的であることを確かめた。また、より大域的な最適解の探索を目指して遺伝的アルゴリズムに代表される進化型最適化法についての検討も行い、山登り探索とのハイブリッド探索を行うことで効率的により大域的な最適解に到達できることを確かめた。具体的に、分岐導波路、波長分離素子、偏波分離素子、偏波変換素子の最適設計例を通して、本研究で開発した最適設計法の妥当性と有効性を確認した。
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