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2011 年度 実施状況報告書

ダイヤモンドを使ったRF-SAWフィルタの研究

研究課題

研究課題/領域番号 23560387
研究機関千葉大学

研究代表者

藤井 知  千葉大学, 産学連携知的財産機構, 特任教授 (30598933)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードダイヤモンド / 弾性表面波 / SAW共振子 / 伝搬損失
研究概要

ダイヤモンドは材料の中でもヤング率が高い、誘電損失が小さい、熱伝導度が大きい、バンドギャップが大きいなどの傑出した特性を持っている。本申請者らは、ダイヤモンドの高いヤング率を活かした高周波(GHz領域)の弾性表面波素子(SAW)の研究開発を行ってきた。本研究では、さらに、材料としての特徴を引き出すために、(1)10W以上の耐電力性を持つ、(2)電気機械結合係数が9%以上と大きい圧電体薄膜のダイヤモンド上への形成、の2点を目的とし、RF-SAWフィルタの研究を進めている。これまでの研究では、多結晶ダイヤモンド薄膜上にSAWフィルタを形成する研究が多く行われてきた。しかしながら、多結晶ダイヤモンド上に形成したSAWフィルタは、水晶やLiNbO3の材料に比べ、挿入損失が大きい問題があり、損失が大きいため耐電力SAWフィルタを形成する際にも問題となっていた。初年度において、申請者は、3x3mm程度の小型単結晶ダイヤモンド基板上へのSAWフィルタの試作プロセスを確立すると同時に、多結晶ダイヤモンドの限界を見極めることに主眼を置いた。また、主なプロセスは、圧電体薄膜形成と電子ビームフォトリソグラフィである。圧電体薄膜であるAlNはECRスパッタを用い単結晶ダイヤモンド上にC軸配向膜を形成することが出来、小型基板上に電子ビームフォトリソグラフィを用い0.5μmのAl電極ラインを形成することができた。これらのプロセスを用い、1ポートSAW共振子を試作したところ、5GHzにてQが2819と極めて大きな値を得ることが出来、伝搬損失も波長当たり0.012dBと激減することが出来た。また、周波数×Q値の積を10の13乗と十分大きな値を示した。これらの値はSHF帯におけるSAWフィルタの可能性を示唆するものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

最もも懸念されていたことは、現在、小型単結晶ダイヤモンド基板しか入手が困難であるため、圧電体薄膜形成や、電子ビームフォトリソグラフィのプロセスが確立しないことであった。しかし、単結晶ダイヤモンドの研磨条件、フォトリソ条件などを見極めることが出来、高品質な1ポートSAW共振子の試作に成功した。また、既にScAlN/ダイヤモンドの形成及び1ポート共振子の試作に成功している、からである。

今後の研究の推進方策

3GHz以上の耐電力評価システムを構築することや、昨年度より進めているスパッタ装置の改造を完了させ、単結晶ダイヤモンド上にScAlN膜を形成することである。

次年度の研究費の使用計画

耐電力評価システムの構築に関する測定器/ケーブル/治具等の購入、スパッタ装置のターゲット部材や部品などの購入、国際学会における発表(旅費)や論文投稿費を予定している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 単結晶ダイヤモンドを使った1ポートSAW共振子2011

    • 著者名/発表者名
      藤井 知 他
    • 学会等名
      弾性波素子技術第150委員会
    • 発表場所
      弘済会館(東京都)
    • 年月日
      2011年7月27日
  • [学会発表] 単結晶ダイヤモンドを用いた高周波SAW共振子2011

    • 著者名/発表者名
      藤井 知 他
    • 学会等名
      ダイヤモンドシンポジウム
    • 発表場所
      産総研つくば(茨城県)
    • 年月日
      2011年12月7日
  • [学会発表] Low propagation loss in a one-port resonator fabricated on single-crystal diamond2011

    • 著者名/発表者名
      藤井 知 他
    • 学会等名
      IEEE Ultrasonic Symposium
    • 発表場所
      米国、オーランド
    • 年月日
      2011年10月18日

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公開日: 2013-07-10  

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