(1) 紫外発光と燐光の発生源およびメカニズムの究明: 酸化ポーラスシリコンの青色燐光と前年発見された狭帯域UV(275-290 nm)光の発生源を特定するため,酸化膜とシリコンナノ結晶のそれぞれの役割を調べた.純粋なポーラスガラスについても光学特性を調べた.酸化されたポーラスシリコンとポーラスガラスは両方とも青色燐光およびUV光を発光する光学特性を示す.紫外線バンドは非常に小さなストークスシフトと非常に狭い吸収帯を伴うことが分かった.表面状態がUV発光強度に劇的な影響を与える.UV帯域はポーラス材料のポーア表面上の水関連の分子種に起因することが判明した.実験結果は,シリコンナノ結晶がUV帯域と青色燐光の発光過程に関与していないことを示した.青色燐光は,ポーラス酸化物中の酸化に関連した分子種に起因する可能性が高い. (2)EL素子の開発と高効率化: Pn接合を導入したEL素子化を行った.表面化学修飾処理および導電性材料の堆積による非発光界面欠陥,キャリアトラップ密度低減,ナノシリコン層の直列抵抗の低減などを行った.キャリアトラップ密度低減とポーラスシリコンのポーア内部への金属電極の堆積により非常に大きい電流密度の増加が見出された.次のステップは光出力効率の最適化である. (3) フォトニクス応用: 開発した燐光ナノシリコン層のフォトニック機能は光導電と光電効果の観点から実証した.ポーラスシリコン膜用いて大きな開回路電圧を得た.また,有機表面変形ナノ結晶シリコン膜細胞についても研究を行った.その変形により再現性と可逆性などの光電効果が大幅に改善された.
|