研究課題
単電子トランジスタ(SET)の電力利得向上は、回路応用時の動作速度向上に重要な改善要素となる。このためSETの電圧・電流特性の表式と接合面積からSETのRF小信号等価回路パラメータを抽出し、信号源およびSET出力側の有能電力の比から電力利得を定義し、具体的計算を行った。この結果、ソース接合厚が電力利得向上のためのキーファクタであり電力利得に関して最も敏感であることが分かった。この接合厚を1.25nmまで薄くすると、従来の標準的SET構造に比べて39dBの電力利得改善が、直流からTHz帯に亘って実現できる見通しとなった。出力電流を大きく取れない単電子構造のため、電力利得の絶対値そのものは-85dB程度と低いが1THz付近まで平坦な周波数特性を有することが明らかとなった。これによりSET応用回路において、信号の読み込み、書き出しの速度をこれまでより大幅に改善できる可能性がある。同様な手法を従来型デバイスである独立バイアス型HBTカスコード電力増幅器に適用し、電力利得に余裕を持たせ、余剰能力を増幅ひずみ特性の改善と電力効率の改善に繋げることに成功した。
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Japanese Journal of Applied Physics
巻: 53-04EJ03 ページ: 1-5
10.7567/JJAP.53.04EJ03
IEICE TRANS. ELECTRON
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