研究概要 |
本年度は、抵抗変化素子モデルの開発と周辺回路としてセンスアンプの開発をおこなった。抵抗変化素子の電圧電流特性はkawabataらのCoOxを用いたRRAMのデータ(Kawabata et al., International Memory Workshop IMW2010, p.60, 2010)を用いた。発表されたメモリセルは、書き込み消去パルスが2.2V, 50ns(セットパルス)と-1.4V,50ns(リセットパルス)と低電圧かつ高速書き込みが可能であり、書き込みに必要な電流も100uAと低い。しかし素子に流れる電流は電圧だけに依存しておらず、電圧パルスを印加している間に変化している。そのため以前作成した相変化メモリで使用したカルコゲナイド半導体のモデルをもとにモデル化した。作成したモデルの概要を以下に示す。試料は4状態(高抵抗状態、高抵抗から低抵抗に遷移している過渡的な状態、低抵抗状態、低抵抗から高抵抗へ遷移している過渡的な状態)をとるとした。また遷移には閾値電圧が必要であり、(読みだし電圧などの)閾値電圧以下での振る舞いとそれ以上での振る舞いとは別になるようにした。素子に閾値電圧が印加されると遷移中を示す過渡的な状態に移行し、パルス印加時間に応じて抵抗値が変化する。また、パルス印加時間がある一定時間をこえると素子は完全に遷移するモデルとした。また個々のセルには固有の番号をつけることができ、この4状態が変化するとシミュレーション中に出力されるログに記録が残るようにした。このログを監視すれば、シミュレーション中に書き込みたいセル以外のセルが誤書き込み(ディスターブ)をおこしていないか確認できる。全てのノードの電位を観察する必要がないため、設計効率が非常に向上した。
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