研究課題
本研究の目的は,1 THz領域における出力が10 W程度得られる高出力光源を実現することである。ジャイロトロンでは,他の光源と比べ格段に高出力の発振が得られるので,発振が得られた場合,出力としては充分なレベルになる。ジャイロトロンの磁場強度をスイープしながら,ジャイロトロン出力を焦電型検出器により観測したところ,磁場強度19.3 Tにおいて発振が起きた。ジャイロトロン出力部と焦電型検出器の間に,電子サイクロトロン基本波動作の電磁波を通さないハイパスフィルターを挿入しても,発振を確認することができた。このことは,ジャイロトロンの出力が,磁場強度19.3 Tのサイクロトロン二次高調波動作による発振であり,周波数1 THz以上であることが分かった。このジャイロトロンの発振を局部発振器とミキサーよりなるヘテロダイン受信系によって,測定を試みたが,残念ながら測定できなかった。1 THz以上の領域では,ミキサーのコンバージョンロスのが大きく,中間周波信号があまりにも微弱なためである。ノイズレベルを増やすことなく,中間周波信号を増幅するため,ローパスフィルターとアンプを用いた多段増幅により,問題を解決できることを確認した。ジャイロトロンの周波数の直接測定までは達成できなかったが,周波数の測定技術を前進できた。1 THz以領域の発振を得られたので,ジャイロトロン出力を利用しやすいガウスビームに変換することが重要な課題である。ジャイロトロン出力が高純度モードで得られると,ガウスビームへの変換が容易になる。そこで,高純度モード出力が得られる,ジャイロトロンの共振器とアップテーパーをドイツとの共同研究により製作した。設計は,散乱行列を用いた計算により行った。製作した,共振器とアップテーパーをジャイロトロン装置に組み込んだ。予備的なジャイロトロンの動作試験において,周波数は低いものの,いくつかの発振を得ることができた。
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Journal of Infrared, Millimeter and Terahertz Waves
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10.1007/s10762-013-0001-8
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