研究課題/領域番号 |
23560401
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
堀田 昌志 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (70229201)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 導波管充填法 / 異方性材料定数 / 広帯域測定 / 高精度測定 / メタマテリアル |
研究概要 |
平成23年度に購入した規格の異なる3種類の導波管(WRJ-6,7,10)を用いて,等方性材料の5-7GHz,6-8GHzおよび8.5-11.5GHz帯における材料定数測定実験を行った。なお,この内,8.5GHz以上の帯域の測定は,アップグレード購入したベクトルネットワークアナライザの測定周波数伸張オプションにより実現でした。Sパラメータから材料定数を求める際の計算アルゴリズムの検討については,現状では材料定数に分散性の少ない試料を用いた測定を主に行っているため通常の計算で問題は無い。ただ,今後分散性を持つ媒質の材料定数測定では多価関数の影響が現れる可能性が高いので,チャートを用いた計算値補正法の準備も平行して行っている。 また,各導波管の基本モードの動作周波数が重複する領域における材料定数の測定値についての検討を行った。その結果,WRJ-6と7の動作周波数重複部分では測定した材料定数がほぼ連続的となる事を確認した。ただ,本来は同じ周波数帯における材料定数の測定値は全く同じ値を示さなければならないのに対して,今回の測定実験ではわずかではあるが差異が見られた。そこで,電磁界シミュレータを用いた材料定数推定解析を行った。その結果,導波管の規格が変わる事による推定材料定数の変化は実際の測定値に比べると非常に小さくさらなる測定精度向上が望まれる。なお,得られた成果は,指導大学院生が国内シンポジウムにおいて研究発表を行った。 その後,この誤差原因について考察を行ったところ,測定試料形状等の不整合による反射やモード変換による影響ではないかと考えられる。特に影響が大きいと考察される反射の影響について,現段階では主測定機器であるベクトルネットワークアナライザに時間領域測定解析オプションを追加し,反射波を窓関数等によりフィルタリングを施す手法が最適であるとの結論に至っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
異方性・等方性材料に対する導波管充填法による材料定数計算の計算式に関する導出および検証はほぼ終了し,あとは材料定数に分散性がある場合などにおける多価関数の取り扱いに関する検討を残すのみとなっている。 また,一年間の測定実験の繰り返しにより,複数の測定用導波管セットを用いた等方性媒質の材料定数測定にも習熟してきており,さらなる測定精度向上について検討を行っている。 ただ,試料を導波管に充填する際に,研究開始当初に予測していなかった被測定試料の形状不整合による反射の影響によると思われる測定誤差が観測され,次年度以降,この対策を早急に講じる必要性が生じている。 そして,今後は複数の導波管を利用した異方性材料定数測定系の構築を早急に行う予定である。なお,異方性材料定数測定に関しては,電磁界シミュレータを用いた数値計算実験で,測定系でSパラメータさえ精度良く測定出来れば,一軸異方性材料定数テンソル成分に関する測定が行える事は確認出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの複数の導波管を利用した等方性媒質の材料定数測定に関しては,概ね順調に研究が遂行出来ている。 ただ,平成23年度の研究過程において,試料形状の不完全性等に起因すると思われる不測の反射が材料定数測定誤差を増大させる可能性が明らかとなった。そこで,ベクトルネットワークアナライザの時間領域解析測定オプションを導入する事により,不整合によって生じる反射波を窓関数等を適用してフィルタリングする手法を試みる。 また,平成24年度に新規購入予定のWRJ-9(WR-112)導波管を用いた材料定数測定実験も平行して行う予定である。 さらに,異方性を持つ周期配列構造体(メタマテリアル)を試作すると共に異方性媒質の材料定数測定実験にも着手し,材料定数に強い分散性を示す材料についても,チャートを利用して多価関数を解くなど早急に異方性材料定数測定系の実現を目指す。 平成23年度は東日本大震災の影響で科研費使用制限が加わり,出席を取りやめた研究会等があり,その分旅費経費が少額未使用となったが,平成24年度に開催予定の関連研究会等へ積極的に参加するための旅費として利用させて頂き,有効活用する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
まず,当初の研究計画通りWRJ-9(WR-112)を用いた10GHz帯における等方性材料定数測定を行うと共に同周波数帯域での異方性材料定数測定について検討を行う。本実験遂行には,同規格の導波管はもとより,導波管形状に対応した同軸導波管変換器,測定用コネクタ等が必要である。 また,昨年度の問題点として挙げられた,被測定試料等からの反射の影響に関してもベクトルネットワークアナライザの時間領域解析・測定オプションを導入し,その除去に関する検討を等方性媒質測定から順次行う。具体的には,測定された周波数領域のSパラメータをフーリエ変換等により時間領域のデータに置き直して時系列による電磁界の変化を観測・吟味する事で反射の発生源を特定し,誤差要因となる反射波の部分を取り除くように適切な窓関数等を用いたゲーティングを行う事により,測定に必要な被測定物からの透過・反射率や位相変化をより精度良く測定する方法を検証する予定である。 さらに,メタマテリアルの概念に基づく周期構造媒質を作製し,一軸異方性媒質定数の測定に着手するには,被測定試料作製用マイクロ波回路基板と加工工具などが必要となる。 更に,研究で得られた成果は,大学紀要や学会等で発表し,学内外を問わず,他の研究者の意見を参考にして円滑に研究を進める予定である。
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