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2011 年度 実施状況報告書

回折格子を用いたプラズモンバイオセンサの位相検出による分解能向上

研究課題

研究課題/領域番号 23560404
研究機関熊本大学

研究代表者

奥野 洋一  熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (50117082)

研究分担者 周山 大慶  熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (70336204)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード国際情報交流  中国
研究概要

平成23年度には,以下にあげる3項目について研究を行うことを計画していた.各項目について簡単に説明し,23年度の研究実施状況を述べる.(a) 金属の屈折率測定:これは,被測定物(試料)の屈折率を7-8桁の分解能で決定するシステムを開発することを目的とした本研究計画の,付随的な課題である.目的を達成するためには,測定系に使用する金属格子の屈折率も,同程度の分解能で知っておく必要がある.我々が提案するシステムでは,このことは原理的に可能である.本測定は,実際の光学系でその可能性を実証することを目的としている.あいにく,23年度には以前から使用していた光学系に不具合が生じ,回折格子も劣化が進んだため,実験検証の実施に至っていない.(b) 位相検出法の決定:我々のシステムでは,プラズモン共鳴吸収に伴う回折光の位相回転を利用して,高分解能を実現することを目指している.このため,光領域で回折光の位相検出が必要となる.いくつかの方法が知られているが,その中でPEMとホモダイン検波を利用する位相検出法が有力だと判断している.この方法は,研究協力者(浙江大学 何教授)が主宰するセンターの銭准教授が開発したもので,角度分解能とコストの点で,従来の方法に勝っている.現在,浙江大学においてこの位相検出器を我々が提案するシステムに利用するための準備が行われている.(c) 光学系の決定:被測定物(試料)の屈折率の大まかな値が分かっていれば,それに応じて光学系を適切に配置(入射光の方位角と天頂角)することで,プラズモン共鳴吸収に伴う位相回転を大きくし,分解能を向上させることが可能である.この知見を利用するために,想定する資料の屈折率範囲(たとえば1.2-1.6)を細分し,それぞれの小区間における最適な配置を系統的なシミュレーションで決定した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

項目(a),(b),および(c)について個別に記す.なお,当初の計画から多少遅れた最大の原因は,地震および津波による各方面の遅滞と物品の欠乏にあった.(a) 上でも記したように,所有する光学系の不具合と回折格子の劣化によって,実験を行える状況になかった.23年度後期から光学系の再構築に取り掛かり,年度末にようやく一応の完成をみた.(b) 研究計画書に記したように,本研究の実験検証は,その多くを浙江大学および華南師範大学で行う予定である.この項目については,常に浙江大学の研究協力者と連絡を取り,順調に進行していると認識している.(c) この項目は,初期の目標を達成した.ただし,光学系の変更(回折格子の取り換え,入射光の波長変更)などがあれば,再度系統的なシミュレーションが必要である.

今後の研究の推進方策

基本的には,23年度に多少の遅れを生じた項目(a)の遅れを取り戻し,以後は当初の計画に従って研究を遂行する予定である. すなわち,(a)については24年度のうちに「金属の屈折率決定の可能性」を検証したい.また,(b)については,浙江大学の何教授,銭准教授と協力して,位相検出器のプロトタイプ構築を24年度のうちに行いたい.(c)のシミュレーションは,必要に応じて随時行う. さらに,24年度からは(d)センサシステムの光学系の構築と,(e)損失資料に対する分解能検討を開始する.このうち,(d)は主として浙江大学および華南師範大学で行い,(e)は熊本大学でシミュレーションを実施する計画である.

次年度の研究費の使用計画

本研究計画では,23年度に使いきれなかった補助金を49万円程度残している.これは,(1)採択・交付の時期が遅れたため,本研究に必要な物品を他の経費で購入したこと,(2)研究打合せ旅費(中国出張)を中国側の経費で賄ったことなどによるものである. 23年度に使用しなかった補助金は,24年度の分と合わせて使用する予定である.具体的には,24年度分はできる限り研究計画書に記した本来の目的に従って使用し,繰り越しの49万円を以下の目的に使用したい.1.ワークステーションのハードならびにソフトウエア充実:23年度に購入したワークステーションは,その能力と機能に多少不満があるため,メモリの増設とソフトウエアの充実を行う.2.研究打合せの充実:本研究も中盤に差し掛かり,位相検出を用いたセンサシステムを構築してその性能を実験的に検証することが必要となった.このため,折を見て浙江大学と華南師範大学を訪問し,何教授らと情報や意見の交換を密にすることが望ましい.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Optimal design of ultra-broadband, omnidirectional, and polarization-insensitive amorphous silicon solar cells with a core-shell nanograting structure2012

    • 著者名/発表者名
      L.Yang, L. Mo, Y. Okuno, and S. He
    • 雑誌名

      Progress in Photovoltaics: Research & Applications

      巻: 1 ページ: 1-10

    • DOI

      10.1002/pip.2206

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A grating-based plasmon biosensor with high resolution2011

    • 著者名/発表者名
      Ziqian Luo, Taikei Suyama, Xun Xu, and Yoichi Okuno
    • 雑誌名

      Progress In Electromagnetics Research

      巻: 118 ページ: 527-539

    • DOI

      10.2528/PIER11060103

    • 査読あり
  • [学会発表] 表面プラズモンによる太陽電池の光吸収の増強2012

    • 著者名/発表者名
      周山大慶, 川原寛大, 高田雄一郎, 奥野洋一
    • 学会等名
      2012年度電子情報通信学会総合大会
    • 発表場所
      岡山大学
    • 年月日
      2012年3月23日
  • [学会発表] サブミクロン金属粒子による光の強調散乱とその利用2011

    • 著者名/発表者名
      高田雄一郎, 周山大慶, 奥野洋一
    • 学会等名
      2011年度電子情報通信学会九州支部学生会講演会
    • 発表場所
      佐賀大学
    • 年月日
      2011年9月28日
  • [学会発表] 2次元金属格子の表面プラズモン励振2011

    • 著者名/発表者名
      白 石, 奥野洋一, 周山大慶
    • 学会等名
      2011年度電子情報通信学会九州支部学生会講演会
    • 発表場所
      佐賀大学
    • 年月日
      2011年9月28日
  • [学会発表] Plasmon Bio-sensor Based on Metal Grating with High Resolution and Wide Measurement Range2011

    • 著者名/発表者名
      Ziqian Luo, Taikei Suyama, and Yoichi Okuno
    • 学会等名
      2012 Progress In Electromagnetics Research Symposium in Suzhou
    • 発表場所
      Suzhou, China
    • 年月日
      2011年9月13日

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公開日: 2013-07-10  

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