研究課題/領域番号 |
23560404
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
奥野 洋一 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (50117082)
|
研究分担者 |
周山 大慶 熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (70336204)
|
キーワード | 国際情報交流 / 中国 |
研究概要 |
本研究計画の実施状況と達成度は,平成23年度の報告に記したように,諸般の事情のため当初の計画から多少遅れている.この理由については,項目11.で説明する.以下では,24年度の実績として,23年度に生じた遅れの回復状況と,24年度の計画並びにその実施状況を説明する.なお,(a)ないし(e)の番号は,補助金の申請書と共通である. (a) 金属の屈折率測定(23年度課題):23年度には,光学系の不具合と回折格子の劣化のために,当初の目標が達成できなかった.24年度には新たな研究協力者(九州産業大学 徐迅准教授)が実験環境を整備し,本課題に関する理論の実験検証に着手した.(b) 位相検出法の決定(23年度課題):PEMとホモダイン検波を用いる位相検出法を用いることが適当であると判断し,この方法の開発者である浙江大学の銭准教授に準備を依頼している.(c) 測定範囲に応じた最適なパラメータの決定(23-24年度課題):この課題については,24年度まで継続する予定であったが,23年度中にほぼ完了した.光学系に変更があれば再度最適なパラメータの決定を行う必要があるが,そのための方法は確立したので,大きな問題ではない.(d) センサを実現するための光学系の決定(24-25年度課題):課題(b)の方針は定まり,(c)は完了しているので,光学系のスキームのめどはついている.問題は実験検証であるが,このことについては11.に述べる.(e) 損失試料に対する分解能の検討(24-25年度課題):損失試料の屈折率測定は困難であるが,最近,格子と試料の配置を検討して損失の影響を避ける方法のめどがついた.このことについては,今後シミュレーションを行って検討する.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度に当初の計画から遅れた最大の原因は,地震および津波による各方面の遅滞と物品の欠乏にあった. また,24年度には,尖閣諸島の問題で日中間の円滑な交流に支障が生じたことも新たな問題になっている.本研究計画は,理論解析と予備的な実験を研究代表者が担当し,光の位相検出を含む本格的な実験検証は,研究協力者である何教授とそのグループ(浙江大学,華南師範大学,王立工科大学)に依頼することを前提としていた.何教授は,博士研究員と大学院生からなるプロジェクトチームを作り,本研究計画を全面的に支援してきた.24年9月の尖閣諸島国有化の後もチームは存続し,何教授の支援方針にも変わりはないが,このプロジェクトのための予算は大幅に削減された模様である. このため,華南師範大学に予定していた実験検証のための設備がいつ設置されるかは,今のところ見通しが無い.
|
今後の研究の推進方策 |
本研究計画の主要項目で当初の予定から遅れが生じているのは,(b)および(d)の項目である.いずれも中国で本格的に実施することを予定していた項目であるから,研究代表者および分担者の努力だけでは,いかんともしがたい.とは言え,来年度は計画の最終年度であるから,目標を多少変更してでも,成果報告をまとめられる形を作りたい.すなわち,中国における実験検証は日中間の関係改善を待つこととし,シミュレーションと予備的な実験の精度向上をめざし,回折格子を用いたプラズモンセンサのプロトタイプを提案しようと考えている.シミュレーションと実験は,研究代表者,分担者,協力者,および[現在までの達成度]に記載したプロジェクトチームが担当する.半ば理論的な予測に基づく提案であるが,これまでにプラズモンセンサでの実験検証が無い部分は位相検出器のみであり,その性能自体は確認済みであるから,プロトタイプとして十分な信頼性を持つものを構成できると考えている.
|
次年度の研究費の使用計画 |
主に金属格子などの消耗品の購入、論文の投稿料と国際学会の旅費に使う予定である。
|