研究課題
優れた高周波用平板回路として広く使われている、マイクロストリップラインを基盤回路として用いた液晶ミリ波位相変調器の開発を中心に研究を進めた。これまで50GHz以上のミリ波帯での動作は確認されているが、更なる損失の低下が望まれたいた。そこで、FDTDシミュレーションによって本デバイスのキーとなる変換回路部分の構造の最適化を行い、高い周波数部分で損失を低下させる為の構造調整方法を見出した。また、変換回路部分には数本のスルーホールが必要となるが、最小限の2対のスルーホールで従来の性能が達成できる事が分かった。これらの成果を踏まえて、アンテナアレイとの集積化の検討を開始した。初めに、アレイ化において有用となる位相シフト動作の相補的な制御を実現する為に、通常の液晶材料とは逆の分子配向動作をする、n形液晶材料を用いた液晶位相変調器の検討を行った。位相変調器と同じ電極構造をITO透明電極付きのガラス基板を用いて作製し、偏光顕微鏡を用いて内部の液晶分子配向状態を詳しく調べた。その結果、信号電極端に発生する斜め電界によって分子配向方向が方向付けられ、信号電極と垂直な面内で配向変化が生じている様子が確認された。また、信号電極中央付近以外において分子配向の欠陥であるディスクリネーションラインの発生は観察されず、良好な液晶分子配向動作を行える事が確認された。これらを踏まえて、最も単純な2素子のアンテナアレイと相補的動作をする二つの液晶位相変調器を組み合わせた集積化デバイスの設計を行った。
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Japanese Journal of Applied Physics
巻: 52 ページ: 091701-1-5
10.7567/JJAP.52.091701
Proceeding of SPIE
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10.1117/12.2008619