研究課題/領域番号 |
23560408
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
古田 守 高知工科大学, 環境理工学群, 教授 (20412439)
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研究分担者 |
浦岡 行治 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (20314536)
木村 睦 龍谷大学, 理工学部, 教授 (60368032)
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キーワード | 先端機能デバイス / 電子・電気材料 / 半導体物性 / イメージセンサー / 酸化物半導体 / 薄膜トランジスタ / デバイスシミュレーション |
研究概要 |
高知工科大学は、非晶質酸化物半導体薄膜トランジスタ(TFT)作製プロセスを確立した。これにより奈良先端大や龍谷大に評価用サンプルを提供し、各種評価の分担・加速化に寄与した。奈良先端大は発光解析を用いたドレイン電流ストレス劣化メカニズムの解明、龍谷大は酸化物TFTによる論理回路動作の検証を、開発した酸化物TFTを用いて行った。高知工科大は、特に光照射下でのバイアスストレス試験による劣化メカニズム解析を行った結果、光照射により伝導帯近傍にアクセプタ型欠陥が生成されON電流劣化やヒステリシスの増大が生じること、これら欠陥生成は酸化物半導体膜密度に依存しており膜密度増大により抑制可能であることを明らかにした。また最高プロセス温度150℃の酸化物TFTプロセスを開発し積層式色分離型光電変換素子へ適用し、画像表示が可能であることを一年前倒しで確認した。 奈良先端大は酸化亜鉛(ZnO)薄膜形成に原子層堆積(ALD)法の適用し,特性の評価を行ってきた。ALD法によるZnO薄膜の形成過程において,反応の活性化のためプラズマを印加する,プラズマALD法を提案・実証し、従来の熱ALD法で成膜したものに比べ膜質の向上、TFT特性の向上を確認した。またバイアスストレス信頼性試験の結果、TFTのしきい電圧(Vt)のシフトは,成膜温度の上昇とともに改善されることを確認した。 龍谷大は、酸化物TFTの欠陥密度抽出の新規技術開発を継続し、金属酸化物半導体の欠陥密度抽出に貢献した。また、光リーク電流のデバイスシミュレーションを行い、その発生メカニズムを明らかにした。また、本研究のデバイス開発に必要な、酸化物TFTを用いた論理回路の設計・開発試作と動作確認に成功した。さらに、本研究の進捗により、酸化物TFTがセンサー用途にも応用可能であることに気付き、照射光履歴センサーや最大印加電圧センサーの検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24年度、高知工科大学はコア研究室として、非晶質酸化物半導体(InGaZnO)TFTの基本プロセス構築を行った。これにより奈良先端大や龍谷大の共同研究機関に評価用TFTを提供し、各種評価の分担体制の確立、研究加速に大いに寄与し成果を得ることができた。具体的には酸化物TFTの各種信頼性評価において、奈良先端大は発熱解析を用いたドレイン電流ストレスによる劣化メカニズムの解明、高知工科大は光照射下のバイアスストレス劣化メカニズムの解明、龍谷大はデバイスシミュレーションによる劣化メカニズムの裏付け、といったそれぞれの強みを活用した研究が推進でき研究計画を超える成果につながった。 また高知工科大学では積層式色分離型センサーに向け、有機光電変換膜上にTFTを作成可能な最高プロセス温度150℃にて移動度10 cm2/Vsを超える特性を有する酸化物TFTを開発した。このTFTを用い、単坂で撮像が可能であることを実際のセンサー試作を前倒しで行い、実証した。この成果は、本研究計画を超え、積層式イメージセンサー実現につながる結果である。 以上のように、本年度は研究計画を超える成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は最終年度であり、本研究の最終目標である、酸化物透明トランジスタによる有機光電変換膜と透明画像読み出し回路からなる積層式色分離型光電変換素子の画質改善効果を明らかにすると同時に、解像度を予備実験の4倍(~5万画素)に向上させ、実用化に向けた課題を明らかにする。この目標に向けた研究は計画以上に進捗しており、計画以上の結果が残せるよう共同研究者とともに研究を推進すると同時に、研究成果の公表である対外発表や論文化にもこれまで以上に取り組む計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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