研究課題/領域番号 |
23560409
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
礒田 隆聡 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (70284544)
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キーワード | DNA / m-RNA / c-DNA / タンパク / 相互作用 / 電子回路 |
研究概要 |
本研究ではDNAから遺伝子(塩基配列コード)が正確にコピーされる分子生物学機構を利用して、電子回路中に集積化したDNAが塩基配列の違いで特定の遺伝子を認識する相互作用を、電圧のON/OFFに置き換えて情報処理を行う有機体/物理デバイスの基本原理を開発する。そのため以下の2点について基盤研究開発を行うことを目標としている。 ①電子回路中に様々な塩基配列のc-DNA(タンパク生産の塩基配列コードを持つm-RNAからコピーしたDNA)を集積化する方法の確立を第1目標とする。 ②c-DNAは1塩基の違いで特定のm-RNAを認識する。最終目標として、m-RNAとc-DNAの認識を入力信号として出力信号パターンを直接演算する素子の基本原理を開発する。 平成23年度には①の基盤技術を確立するため、基板表面のモデルとしてシリカ微粒子(10μmφ)を選定し、DNAを取り付けるための表面分子構造とDNA導入量の調査を実施した。調査の結果、固体表面にアミノ基を導入した場合、DNA類と強い相互作用を示すことが分かった。このような固体表面には、抗体のようなタンパク分子も同様に導入でき、さらに固定化した抗体と抗原タンパクが特異的に反応することも確認できた。課題①についてはその方向性を見出すことができた。 平成24年度には①の基盤技術をさらに進展させるため、基板表面のモデルとして使用しているシリカ微粒子をガラス製ウェハー(5×8cm:1㎜厚)に変更し、この表面のアミノ化とそのパターニング技術の調査を実施した。調査の結果、どのような反応条件においてもアミノ基の導入は確認できなかった。次年度はウェハーの材料を、シリコンなど他の材料に変えて、そのパターニング技術の確立を急ぐ。また②の基盤技術について検討も行い、微粒子表面に固定化した抗体と抗原タンパクの特異的反応を電気信号として検出するための要素技術を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度には①の基盤技術をさらに進展させるため、基板表面のモデルとして使用しているシリカ微粒子をガラス製ウェハー(5×8cm:1㎜厚)に変更し、この表面のアミノ化とそのパターニング技術の調査を実施した。調査の結果、どのような反応条件においてもアミノ基の導入は確認できなかった。この点については、当初の目標を達成できなかった。平成25年度も調査を継続し、早急に要素技術の確立を目指す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
① 電気分解によるAu反応部位表面のアミノ化 微小電極を複数配列した電極アレーを作製し、電極上に固定化した機能性アミノ酸(アミノ基側末端が保護基でキャップされているもの)を電気的に任意の位置で保護基を脱離させる方法を確立する。原理としては、デバイス上に電解液を滴下し、任意の電極対を通電させ、負極から発生する水素イオンで保護基が脱離反応する条件を探索する。このような方法で基板上の任意の位置をアミノ化させ、そこにc-DNA断片を固定化することを試みる。 ② 当該年度購入した固相合成装置で、あらかじめアミノ酸を任意に連結させたペプチドを合成し、このカルボシル基末端を①の露出したアミノ基とペプチド結合させることを試みる。近年、分子生物学分野では、特定のアミノ酸配列のペプチド分子と、c-DNAが特異的に相互作用することが明らかになってきている。そこで、本デバイス上にも化学物質であるペプチドを予め任意の位置に配列させておくことで、c-DNAの塩基配列にダメージを与えることなく、自己配列できることが期待される。 ③ 電極アレーチップの作製 当学研都市内の半導体共同開発センター内保有のマスクアライナー露光装置、及びレーザー描画装置を用いる。この研究ステージでは、ガラス基板上にフォトリソグラフィー法にてセンサ回路を構築する。第1層目をCr電極、第2層目をSiO2絶縁層、第3層目をCr電極となるように積層させ、格子状電極群を作製する。機能性分子の配置部には、Au層をパターニングして反応部位を構築する。電極線幅を100μmから10μmへと段階的にダウンサイジングさせることで、c-DNA素子の集積化度を上げていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き試薬関係の消耗品の購入を行い、研究を実施する予定である。
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