研究課題/領域番号 |
23560411
|
研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
堀尾 和重 芝浦工業大学, システム工学部, 教授 (10165590)
|
キーワード | ガリウムナイトライド / HEMT / フィールドプレート / 電流コラプス / 耐圧 / 2次元解析 |
研究概要 |
半絶縁性GaNバッファ層内に深いドナーと深いアクセプタを考慮したAlGaN/GaN HEMTの2次元解析を行い,ドレイン電圧やゲート電圧を急激に変化させたときに見られる緩やかな電流応答(ドレインラグ,ゲートラグ)やそれらの複合現象としての電流コラプス等の異常現象,及びオフ耐圧について検討した。特に,ゲート・ドレイン間のパシベーション膜上に電極を設けたゲートフィールドプレート構造及びソース電極とフィールドプレートを同一電位にしたソースフィールドプレート構造について解析し,両者の比較検討を行った。その結果,ドレインラグの低減については両者に差は見られなかったが,ゲートラグはソースフィールドプレート構造の方が低減効果が小さく,従って電流コラプスの低減効果も小さくなった。また,オフ耐圧もソースフィールドプレート構造の方が低くなった。これらのことは,ソースフィールドプレート構造の場合,オフ状態においてゲートのドレイン端の電界がより高くなるためと解釈された。 この他,高誘電率パシベーション膜を有するAlGaN/GaN HEMTの耐圧特性について計算・検討した。その結果,オフ耐圧の向上が見られ,高誘電率パシベーション膜の導入がフィールドプレートの導入と同様の効果があることが示された。これは,高誘電率パシベーション膜の導入がゲートのドレイン端の電界低減効果を有するためと解釈された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の課題としたゲートフィールドプレート構造及びソースフィールドプレート構造AlGaN/GaN HEMTにおけるラグ現象や電流コラプスの低減効果についての解析が概ね終了し,両構造の得失の比較をすることができた。また,両構造の耐圧特性についてもそれなりの結果を得ている。さらに,フィールドプレート構造に代わるものとして,高誘電率パシベーション膜を有する構造を提案できた。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究を発展させ,ゲートフィールドプレート及びソースフィールドプレートを併せ持つデュアルフィールドプレート構造AlGaN/GaN HEMTの解析を行い,電流コラプスの低減効果について検討する。また,高誘電率パシベーション膜を有する構造が電流コラプスの低減に効果的かどうか検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費残高25万円程度は,次年度の物品費及び旅費にあわせて使用する予定である。平成25年度は本研究計画の最終年度であり,研究発表用の旅費に多くの予算をあてる予定である。
|