研究課題/領域番号 |
23560413
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
中川 活二 日本大学, 理工学部, 教授 (20221442)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 記憶・記録 / データストレージ / 磁気記録 / 熱工学 / マイクロナノデバイス / 電子・デバイス機器 |
研究概要 |
磁場を印加せずに円偏光のフェムト秒レーザを垂直磁化膜に照射することで、THzオーダーの速度で記録可能な光誘起磁化反転現象を利用した磁気記録手法の高密度化の解決法として、表面プラズモン技術を利用した近接場光誘起の局所円偏光生成を提案している。どのように近接場光を活用するかがキーポイントとなるため、表面プラズモンアンテナの特質を見極め、両者を融合する従来の限界を打ち破る超高速・超高密度の新規な記録原理を実証することを目的としいる。Finite-Difference Time-Domain (FDTD)法を用いた円偏光モードの解析により、光直接記録に適した近接場アンテナ形状の検討を進めた結果、4回対称性の十字型開口およびクローバー型開口において、粒子記録材料に円偏光を生成可能であることを見いだした。記録粒子と近接場光用開口との位置関係に対する記録マージンの検討も併せて行った。また、直線偏光を照射して円偏光を生成する十字型アンテナの検討も行った。効率よく実証実験を行うために、磁気記録媒体上に直接近接場光アンテナを積層する構造を発案した。電磁界計算及び熱伝導計算により検討した結果を踏まえ、媒体にアンテナを積層した構造において、10μsのパルス光によりCoPtCrグラニュラ媒体を用いた熱アシスト磁気記録の検証実験を行い、反転磁区が形成することを確認した。反転磁区直径は1μm程度とまだ十分大きいため、パルス時間幅の短縮を進める。フェムト秒オーダーのプラズマ共鳴による応答の電磁界・熱解析を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画通り、局所円偏光の生成を可能とする表面プラズモンアンテナについて、Finite-Difference Time-Domain (FDTD)法を用いた検討において、実現の見通しを得た。アンテナ構造を4回対称性の十字型開口やクローバ型開口とすることにより、開口中心部に局所的な円偏光を生成可能であることを示した。さらに、媒体を孤立粒子媒体とすることにより、媒体内部に進行する円偏光を閉じ込めることを示した。孤立微粒子を配列した媒体構造では、他の粒子に意図せず記録してしまうことが問題となるため、記録粒子と隣接する粒子との円偏光強度比を評価した。アンテナ構造をクローバ型として開口中心部近傍での隣接粒子と開口との過渡な重畳を回避することで、円偏光と隣接粒子との強度比の拡大が可能であることを示した。さらに、当初の予定以上の範囲として、本クローバ型開口構造において、開口中心と記録粒子の中心位置ずれに対する許容範囲も評価も進めた。一方、実際に実証実験を行うためにアンテナを媒体に直接積層する構造を提案し、シミュレーションで示すと同時に、直線偏光のレーザ光をCoPtCrグラニュラ媒体上に作製したぷずモンアンテナに照射することで記録磁区が形成可能であることを示した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の表面プラズモンアンテナ実現の継続検討に加え、プラズモン共鳴のフェムト秒応答について検討を行う。まずシミュレーションレベルで過渡応答を検討し、実証実験につながる研究を進めて光の利用効率についての検討する。また、アンテナを媒体上に積層した構造においてナノメートルサイズのアンテナ加工をFocused Ion Beam (FIB)、電子ビーム露光で進めているが、本研究に適した表面プラズモンアンテナの微細加工の検討を進める。さらに、超短パルスでの記録実験の準備を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費として、媒体上に積層するプラズモンアンテナの作製に必要な実験消耗品の購入、および、記録磁区観察用磁気力顕微鏡用探針の購入を予定している。旅費として、研究成果発表として国内・国外の会議参加を予定している。その他、上記会議の参加費を予定している
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